エッセイの書き方のコツ(4)「結びは大事」2012年02月15日

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友人に、こんなメールをくれる人がいます。
メッセージの最後にかならず、
「素敵な1日を!」
「楽しい週末をね!」
という言葉を書いてくれるのです。
どんなにその日の朝の星占いがワースト1でも、彼女のメールを読んだだけで、気分は上向き。本当にいい日になりそうな気がしてくる。

同じことがエッセイにも言えるのです。
文章の最後、つまり結びがとても大事です。明るく終わっていれば、読み手の読後感も明るくなって、気分がいいですね。
エッセイ仲間のある女性は、夫が難病になり、その闘病記を書き続けています。
入院して治療を受けても、病状は一進一退。恐怖すら覚える様子をつづります。
それでも最後は、

「年末に、初めて外泊許可が出て帰ってくる夫を、せめて笑顔で迎えよう」
と結んでいます。
それだけで、何の根拠もないけれど、きっと大丈夫!という気持ちになれました。
がんばって!と応援したくなりました。


先日、ある団体からコンサートのお知らせのメールが来ました。
その結びは、「未就学のお子様の入場はお断りいたします」。
また、別のところから、お食事会のお知らせも届きました。
その結びは、「セールス目的の方は固くお断りいたします」。
たしかにどちらも大切な情報として、書かないわけにはいきません。
でも、お知らせをもらった側としては、どうでしょうか。別に、連れていきたくとも小さな子どもはいないし、売り付けたい商品もありません。それでも、なんとなく冷めた気分になりはしないでしょうか。
マイナーな情報で終わらせないで、せめて最後にもう一文、
「皆様の大人の時間を優雅にお過ごしください」
「家庭も仕事も忘れて、おしゃべりの楽しいひとときをご一緒に!」
などなど、何か書いてあったらよかったのに、と思いました。


文章の最後は、大いに気を遣いましょう。

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この話の続きは、また明日。




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