ダイアリーエッセイ:ウマクイカナイ ― 2013年05月24日
長男モトの主治医のところへ出かけた。こころのクリニック。
養護学校を卒業するときからお世話になっている。
4週間に1度、本人は行かずに私だけがS先生と話して、彼の状態を伝え、対処法をうかがう。先生は障がい者の自立支援に詳しく、社会的な面からもアドバイスを受ける。
先生の穏やかな笑顔で、ほっと肩の荷が下りる。
柔らかな勇気をもらった気分で帰ってくる。
長男ではなく、私の主治医なのかもしれない。
モトの仕事先が決まらない。
障がい者就労支援センターの担当者は、定規を当てるように彼の能力を推し測り、それに見合っただけの仕事に就かせようとする。それが至上の任務であるかのごとく。
一方、母親の私は、彼の伸びしろを信じ、これまでの体験の上に次のステップを踏ませたい。そんなに世の中が甘くないことは承知のうえで、親の情もわかってはくれまいか、と思う。
どうもうまく思いが伝わっていかないのである。
今夜は満月がきれいだ。
見上げながら、ちょっぴり悲しくなる。
うまくいかないのはモトのことだけではない。
良かれと思っても、空回りばかりで。
「次へ進むことを考えないで、ちょっと休んでみるのもいいですよ」
S先生は言った。
私も、走るのをやめて、ウサギみたいに昼寝でもしてようかな。
……昼寝とならずに、永遠の眠りについてしまいそうで、それも怖いのである。
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