旅のフォトエッセイ:東松島へ(9)~大高森に登って~2013年07月28日

松島は、天の橋立、宮島と並んで、日本三景の一つである。
その松島の美しい景色を眺める四つのスポットが、「松島四大観」。それぞれ、壮観、麗観、幽観、偉観と呼ばれている。
今回はその一つ、壮観をめざして、太田さんの案内で、大高森へ。東松島市南端の宮戸島にある標高106mの山だ。
20分ぐらい、山を登るんだけど、大丈夫っすか」
やさしい太田さんが気遣ってくれる。よほどのお年寄りと見られているらしい。
「地下鉄に乗るときも、エスカレーターは使わないで、鍛えてるんだからね。平気よ、これぐらい」
と、ちょっとオーバーに、ちょっと強がって答える。

身長185㎝の太田さんが、長い歩幅ですたすたと登っていく後ろから、ちょこちょことついていく。
見よ、この軽快な足取りを……!



途中、奥松島縄文村が見下ろせた。
このあたりは、津波の被害が少なかったそうだ。



ヘタることもなく、見晴らし台に無事到着!


西側に臨む松島湾には、春の息吹が満ちあふれている。
煙るような山には新緑が芽吹いている。樹木の花々も満開。
何も言うことはない。絶景そのものだった。

が、しかし……




北側には、野蒜から大曲浜、その先の石巻まで、海岸線が続いている。
大きな被害を受けた地域だ。
震災前の眺めと比べることはできないのだが、たしかに海岸沿いには何もない。剥げ落ちてしまったかのような印象を受ける。

島々のおかげで難を逃れた地域と、そうではなかった地域。ここに立つと、それを見て取ることができた。
自然はときとして猛威を働く。そのとき、命を守ってくれるのも、地形という自然そのものなのだ。

震災から2年もたってしまったけれど、ここを訪れた意味はあった、と思った。


**********************************************

次回をもって、「東松島へ」シリーズは最終回とするつもりです。
長い間お付き合いくださった皆さま、どうもありがとうございます。




日本ブログ村のランキングに参加しています。
ぽちっとクリック
をお願いいたします。
いつもどうもありがとうございます。

コメント

_ suzuking ― 2013/07/28 21:46

地の利があったとか運が良かったとか、
簡単には言ってしまえないものがありますね。
やはり、そこに立ってみないと解らない。
ひとみさんのおかげで山登りをせずに
大事なことを知ることができました。
まさに特派員。これからも発信し続けてください。

_ kattupa ― 2013/07/29 05:03


長期の掲載、楽しく読ませていただきました。
.
ところで、よく話題になった、
のり工房矢本さんの塩のり、ですが、
お茶の友にして、茶菓子代りにパリパリ味わっています。
夜は晩酌のつまみです。海の香りが至福のときへ誘ってくれます。
さらに、暖かいご飯に一枚のせて、ご飯をくるんで、パクリとやると、これがまた旨い。

のり三昧の毎日です。

_ hitomi ― 2013/07/29 09:11

suzukingさん、私がお伝えできるのはほんのわずか。「そこに立ってみなければ解らない」ということだけでもわかっていただけたらうれしいです。ぜひ、ご自身の足でその場に立ち、ご自身の目で見てください。別の発見もきっとあることでしょう。

_ hitomi ― 2013/07/29 09:19

kattupaさん、塩のりのファンになってくださって、のり工房矢本の代表になりかわりまして、お礼申し上げます。
食べておいしくヘルシーで、しかも復興支援につながる一石二鳥。これからもよろしくお願いいたします。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/2013/07/28/6925957/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。

copyright © 2011-2021 hitomi kawasaki