自閉症児の母として(27):母の思いを伝える2015年12月18日


今月は「師走」という名のとおりに、忙しく走り回っています。

自閉症児の母としても、講演の機会が2度ありました。




 

1210日には、千葉県松戸市の聖徳大学の「障害児保育」の講義の中で、100名ほどの学生さんに向けて、お話をしました。講師である准教授の津留先生は、長男が中学生の頃に、療育でお世話になったのです。先生が『歌おうか、モト君。』の本に目を留めてくれたのがご縁となりました。学生さんの課題図書として私の本を利用してくださり、著書の私も年に1度は大学に出向いて話をさせてもらうのです。

 

いつもの私のエッセイの生徒さんはほとんどがご年配の方がたですが、大学には次男と同じぐらいの女の子ばかり! 私も若さに触れて、ちょっぴりアンチエイジング?? 

 

保育士や教諭を目指す学生さんたちの感想文には、可愛らしいアイデアがいっぱいです。




「自分の子どもが障害児だったら、こんなふうに強くなれないと思う」

いつも、同じように不安な気持ちをつづった文章が多いのですが、何の経験もない彼女たちには自然な思いかもしれません。

でも、大丈夫。母となったときには、それだけで強くなっていますからね!

 



1216日には、東京都発達障害者支援センター(TOSCA)の支援者の研修のなかで、20年来の長男のママ友と二人、自閉症児の母としてお話をさせていただきました。



 

29年間、長男をなんとか育ててこられたのは、3歳のときからずっと、今もお世話になっている療育の場、「嬉泉」という社会福祉法人のおかげです。

そこで最初に学んだのが「受容的交流方法」。あるがままを受け入れて、心を通わせていくという子育てのやり方は、29年間私の基本だったと思います。

キーワードは3つ。「安心」をさせて、「経験」をさせて、人として「プライド」を持って生きていくこと。

そして、私のモットーは、園長先生の言われた、

「子どもの犠牲にはならないで、自分の人生も大切に」でした。

 

今後、障害者支援に望むことは?

・障害がわかった時点からずっと、一貫した支援のシステムがあるといい。

・母親ばかりではなく、父親に対する支援の充実も望む。

二人の母の一致した願いです。

 

参加者14名の方がたの感想は、さすがに支援の現場での体験からくるもので、確かな手ごたえがありました。この日の私たちの思いが伝わって、少しでもより良い支援に結びついていったら、うれしいかぎりです。

 

 

 




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