旅のフォトエッセイPortugal 2018(3)ドン・ルイスⅠ世橋を渡って2018年02月15日

 




ポルトは、大西洋に注ぐドウロ川の北岸に街が広がり、南岸には古くからワインセラーが立ち並ぶ、ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアと呼ばれる地域がある。

この国に来てポートワインは外せない。代表的な「サンデマン」というワインセラーを見学しようと、向こう岸へ向かう。

ドン・ルイス一世橋を歩いて渡るのである。



 

この橋は二層構造で、上層は北側の高台から南側の高台まで、長さ約400メートル、どーんと鉄のアーチの橋がかかっている。下層の橋は水面に近い位置にあって、車と人が通る。

 

どこかで見たことがあるような……と思ったら、19世紀後半、パリのエッフェル塔を手掛けたギュスターヴ・エッフェルの弟子が造ったそうだ。当時の最先端技術を用いた鉄橋なのだ。アーチの感じが似ている。


驚いたことに、上の橋には幅8メートルの道路上に線路が敷いてあって、地上45メートルというこんな高い場所を、なんと地下鉄が路面電車となって走っているのだ。しかも、同じ道路を人も通行する。


 


 

歩いてみると、足元には隙間があり、下が見えるではないか。手すりも低くて怖いこと怖いこと。下半身がぞわぞわする。

事故が起きたりしないのだろうか。日本だったら、歩道が仕切られて、高いフェンスが必ずあるだろうに……、などと独り言ちて気を紛らわしながら、なんとか渡りきった。


眺望はすばらしい……のだけど。▼


 ▼ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアには、赤茶色の古い瓦屋根が並び、それを見下ろしながらロープウェイも動いている。



かつて、ワインを運び出すのは川を上る船だったから、建物は皆、川の方を向いて建っている。

橋から川べりまで坂道を下りてくると、SANDEMAN の裏返しの文字が屋根の上に突き出て見えた。もうすぐだ。


ところが、お目当てのワインセラーは、やっていなかった。手前にあるレストランに尋ねても「クローズド」の一点張り。シーズンオフだからだろうか。ガイドブックには、冬期の見学時間まできちんと書かれていたのだが。

 

諦めて、そこで早めの夕食をとることにした。時差のせいで、この日は1日が33時間の長丁場だというのに、恐怖の橋渡りでエネルギーを使い果たしてしまった。

エビ・魚・ベーコンの串焼きと本場のポートワインは、そんな疲れを吹き飛ばすのに十分過ぎる美味しさだった。



▲日本の居酒屋にいるおにいさんという感じ? この30センチもありそうな串に刺して焼く。2本で一人前。もちろん2人で食した。


▲お皿の上のほうに写っている黄色いのは、甘くないサツマイモのようなお芋。魚はmonkfish だという。アンコウの一種らしいけれど、柔らかくておいしかった。

 

 


帰りは、下の橋を渡った。ちょうどその場所からケーブルカーが斜面を上っている。思いがけず楽ができて、しかもライトアップされた夜景も楽しめてラッキーだった。




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