沖仁さんのライブへ♫ ― 2018年02月24日
大好きなフラメンコギタリスト沖仁さんのライブへ。
それは不思議なコラボでした。
会場からして、能楽堂。日本の伝統芸術文化が公演されるような場所です。
今回は、この舞台で、バイレ(フラメンコの踊り)と長唄とのコラボです。
全員が黒ずくめの衣装と地下足袋姿で登場しました。
バイレの女性ダンサーもパーカッションの男性も、靴は履かずに足袋。床を踏み鳴らす音が木の温もりを伝えます。
繊細なギターの音色と、リズミカルに床を打つ音と、一点の曇りもないほどに澄んでなおかつ力強い長唄の声音とが、重なり合っていきます。
黒いスカートのダンサーは、時に素早く、時に緩慢に、豊かなフリルのストールやスカートの裾を揺り動かしては、狭い舞台を無言で動き回ります。
中学生か高校生のころだったでしょうか。わが家にギターがありました。
ギターは右手で弦をはじいて奏でる楽器です。左利きの私は、どうもうまく弦がはじけません。試しに、6本の弦を張り替えて左右逆の順番にしてみました。こうすれば、左利き用のギターになるわけです。
あら、左手で弾ける!
「禁じられた遊び」のさわりの部分も、何とか爪弾いてそれなりにメロディーになるではありませんか。
小さい頃から左手で字を書いていた私は、矯正され、右手でも書けるようになっていました。そもそも日本語の文字は、右手で書きやすいように書き順が決まっている。つまり、左手だと裏返しの文字が書きやすいということです。右手で普通の文字が書けるようになると、左手で鏡文字がすらすら書けるようになっていたのです。
そんな私ですから、コード表を裏返しで読み取ることなど、さほど難しくもなかったようです。
うれしくて、コード進行もいくつか覚えて、ギターを弾きながら、当時流行っていたフォークソングなど歌っては、楽しい時間を過ごしました。
そんな幸せなひと時も、長くは続きませんでした。きょうだいたちからギターの弦を元に戻すようにと言われ、従わざるをえませんでした。
私は左ぎっちょだからギターが弾けない。そう決めつけて、諦めたのです。
さて、不思議な音楽の世界に酔いしれて2時間、ライブは終了。
その後、アルバムを買って、沖仁さんにサインをもらいました。
彼はなんと、字を書くのは左手。私と同じサウスポーだったのです。でも、ギターを弾くときは右利きの人と同じように弾く。それを知ってますます彼のとりこになりました。
左利きの彼は、どれだけの努力をして、右利きの世界に挑んでいったことでしょう。ハンデをものともせずに、ギターを習得し、スペインで開催されたフラメンコギターのコンテストで優勝するなど、並大抵のことではありません。
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