自閉症児の母として(64):朝日新聞「ひととき」欄に掲載されました!2020年05月06日


クリックすると、拡大して読みやすくなります。▼

 


このエッセイは、マスクをもらったその夜のうちに、鼻を真っ赤にしながら書き上げました。翌朝、一度読み返してから、朝日新聞にメールで投稿。その日のお昼過ぎには電話がかかってきました。都内の電話番号ではなく、携帯電話の番号で。新聞の編集の方も、自宅でテレワークです。

電話の女性は、自閉症の特性をよくご存じでした。几帳面な性格だから、社会ルールをきちんと守ろうとすることや、マスクは毎日取り換えないと気がすまないことも、「想像がつきます」と言ってくれました。

採用の電話が来たことだけでも感激なのに、気持ちを理解してもらえたことがさらにうれしく、またウルウルしてしまう泣き虫な私でありました。

 


高嶋哲夫著『首都感染』を読んで2020年05月10日


(スマホの方は、こちらでお読みください)


『夏の災厄』を読んでからは、もう読むまいと心に決めていたパンデミックの小説を、やはり読んでしまいました。

グルメの友人が、食事の支度もそっちのけで読みふけったと聞き、その気になったのです。アマゾンでも売り切れで、隣町の大型書店に買いに走りました。『夏の災厄』を電子本で読んだら、「家族や友人に回したかったのに」と後悔したので、今度は文庫本を買ったのです。

 

発端は、中国雲南省。インフルエンザのような感染症で、いくつもの村が死滅していきます。おりしも北京ではサッカー・ワールドカップを開催中。国の威厳を守るために、なんとしてもワールドカップが終了するまでは、秘密裏に封じ込めを進めたい。こうして中国共産党本部は、情報開示を遅らせる……。

どこかで聞いたような話です。

これは10年前に発表された小説なのですが……!

 

中国での感染拡大が隠ぺいされたがゆえに、サッカー観戦を終えた世界中の旅行者たちが自国に戻り、世界的な感染爆発を起こしてしまう……。

が、しかし。

日本には頼もしいリーダーたちがいた。当時の総理大臣と、その息子の医師、彼は元WHO感染症対策チームのメンバー。そして、総理の同級生であった元医師の厚生労働大臣の3人が、強い絆のもと対策本部を取り仕切っていきます。

まずは、国内の国際空港をすべて封鎖し、中国からの旅行者は全員、ウィルス潜伏期間の5日間、空港内に拘束するなど、水際対策を強行するのですが、やはり都内に感染が始まります。

そこで、対策本部は大胆な策に打って出ます。感染の広まった部分、東京の河川と主要幹線道路とに囲まれた都心部を、自衛隊や警察を総動員して、ぐるりと完全封鎖する。ロックダウンです。誰一人例外なく、どんな理由があろうと、出ることも入ることも禁止されます。

こうして感染は、720万人の都民が住む封鎖エリア内だけに閉じ込められるのですが……

 

その先は、ぜひご自身でお読みください。

安心しておススメできるのには、それなりに理由があります。

 

まずこれはあくまでもフィクションです。

国会を通さずにこれだけの権力乱用を許され、しかも信頼を得ているリーダーは、残念ながら日本には存在しません。それだけに、小説として割り切って読める。感染と戦う誰もがかっこよく、疲れ知らずで能力があり、安心して手に汗握りながら読書に没頭できるというものです。

さらに、この感染症は、感染者数も致死率も非常に高い。最終的に世界で125千万人が亡くなったというのですから、新型コロナとは桁違いのパンデミックです。現実を振り返ると、むしろ冷静になれるのです。

 

ちなみに、総理の息子の医師は、暗い過去を抱えて、ひげを生やし、アルコールに溺れる一歩手前のような男。それでも、プロの感染症対策の知識を持ち、的確かつ大胆な指示を出せる。ほれぼれする指揮官、どこかで見たような……と思い当たったのは、映画「シン・ゴジラ」の長谷川博己が扮する内閣官房副長官でした。彼に無精ひげでこの役をやってほしい。(個人的な願望です♡)

 

それでいて、「未来のノンフィクション」ともいえる。これは、本書に解説を載せている成毛眞氏の言葉です。

著者の高嶋氏は、かつて原子力研究所のメンバーでした。膨大な知識には、科学者としての裏付けと洞察力があってのこととはいえ、驚嘆に値します。

彼の小説『TSUNAMI 津波』は、東日本大震災の6年前に発表されたものだそうです。20メートルの高さの津波が押し寄せ、原発はメルトダウン直前までいくのだとか。そう聞いただけで彼の予言者ぶりがうかがえるではありませんか。

 

新型コロナの報道で、「サイトカインストーム」という言葉を耳にしました。ウィルスそのものの感染よりも、二次的な症状として血栓が起きる場合があり、それはサイトカインストームのせいだ、というものでした。

小説の中にも出てくるのです。多臓器不全に陥り、内臓が侵されて出血して死に至る、とあります。凄惨な死体の描写もありました。

 

また、先週から、レムデシビル、アビガン、イベルメクチンなど、新型コロナの治療薬のニュースも増え、希望をもたらしてくれています。

ちょうどそのころ、私の手中の物語も終盤、格段に効果のある新薬がスピーディに認可され、ワクチンもドラマチックに開発が進むという段階に入りました。

 

こんなふうに、現実と架空とを行ったり来たりする読書を楽しみながら、私の外出自粛の日々は過ぎていきます。



自粛の日々につづる800字エッセイ:「母とのオンライン面会」2020年05月25日



わが家に眠っている6枚のアベノマスク。

わが家に来た1セット。長男が福祉の職場で4月にもらった1セット。もう1セットは、母のポストに入っていたもの。いずれ必要になる日もあろうかと、備蓄しています。

 

**************************************

    母とのオンライン面会

 

母が暮らす介護施設は、2月のうちから面会禁止となった。インフルエンザが流行る頃に面会できなくなることはあっても、今回のように3ヵ月以上になったことはない。手紙を書いて写真を送ったり、施設の職員が母の写真を撮って送ってくれたりもした。

そして先週、ついにオンライン面会をしてもらえることになった。すぐに申し込み、ZOOMを初ダウンロードして楽しみに待った。

約束の時刻になると、パソコンの画面に車いすの母が映った。顔見知りの介護士さんも3人ほどそばにいる。

「お母さん、見える?」と手を振る。

母は横を向いたまま何も言わない。かなり耳の遠い母には聞こえないのだろう。私はさらに大きな声で、

「誰だかわかる?」と自分を指さした。

見かねた介護士さんが耳元で私のセリフを伝えると、

「そんな大声で言われたらうるさい」とご機嫌がよろしくない。

「ひとみでしょ。娘の顔ぐらいは覚えてるわ」と憎まれ口は相変わらずで、元気なのだとわかる。やはり現在の新型コロナの状況や、パソコンでの面会の理由など、新聞を読み、テレビを見ているようでも、わかってはいないのだろう。終始かたくなな表情で、笑顔も見られないまま面会は終わった。


 私はその後、友人グループと2回ほどオンラインお茶会をした。こもったような音声や、一拍遅れて届く反応など、慣れないせいかとても疲れた。

 やはり、母とも生で会いたい。いつものように、顔と顔を寄せて母の爪を切りながら、同じ話をしよう。

「ひとみは昔から手が冷たいね」

「お母さんはいつも温かいね」

その手の温もりを感じておきたい。97歳の母には、もうあまり時間は残されていないから。

 


自閉症児の母として(65):朝日新聞の記事になりました!2020年05月27日

 

先日の朝日新聞「ひととき」欄の投稿が反響を呼んで、わが家に記者の方が取材に来ました。

そして、本日の朝刊の生活面に、こんな記事が掲載されました。


 画像をクリックすると拡大され、再度クリックすると元に戻ります。▼

 

私は、息子の代弁者として、自閉症という障害について少しでも社会の理解が深まってほしいという思いで、これまで40年近くエッセイの勉強を続け、書き続けてきました。

障害児の母としての子育ても30年になります。

この記事は、その記念のご褒美のようなもの。

 

私の投稿に目をとめて掲載し、この記事を書いてくれた記者さんにも、マスクを送ってあげたいと思ってくれた方がたにも、そして、これまでの子育てを助けてくれてきた友人にも、エッセイの仲間にも、すべての皆さんに、今感謝の気持ちでいっぱいです。

 

♡♡♡心から、どうもありがとうございます♡♡♡



copyright © 2011-2021 hitomi kawasaki