自閉症児の母として(72):グループホームを退去しました2021年09月16日


 あれほど気に入って、長男の入居にこぎつけたグループホームでしたが、2年半をもって退去しました。まずはそのご報告です。

 

はじめは、親亡き後も安心して生活できるように、グループホームでの自立を目指したのでした。ところが、コロナ禍の世の中になってしまうと、このホームはちょっと違うかも……と思うことが増えていきました。

ホームに見切りをつけたのは、今年の3月頃。ここではだめだ、他所を探そう。そう決めたのです。

その後、コロナ禍の影響もあって、息子とホームの問題は、ちょうど母の入院から危篤状態の続く夏の日々と重なるようにして大きくなっていきました。そして、とうとうホーム側から「退去」という言葉が出たのです。私にはふたつの重荷が両肩にのしかかったようで、苦しい毎日でした。

私の事情を話し、母が落ち着くまで(つまりは亡くなるまで、ということです)しばし待ってもらえないかと何度か願い出ましたが、受け入れてはもらえず、「10日後には退去してほしい」と一方的に決められてしまいました。福祉を提供するはずのこの組織のトップには、血も涙もない。それもまた、ショックでした。

そして、その10日の間に、母は亡くなりました。それでも、悲しむ間もなく、葬儀の翌日には片づけ、その2日後には退去し、息子は自宅に戻りました。

 

どんな理由があったのか、どんな経緯だったのか、とてもひとことでは言えません。

今は具体的な説明は控えますが、今後少しずつ整理して書いていくつもりです。

これからグループホームに入居することを考えている方に、少しでも参考になればと思います。

 

今回の挫折で、私は多くのことを学びました。グループホームの実態も、福祉のことも、そして息子自身についても。

息子は2年半でずいぶん成長した一方で、やはり変わることのない「自閉症」という難しい障害を持っている。改めて突き付けられた思いです。

 

今、息子は自宅から職場に通っています。

次のグループホームは半年前から探し始めていたので、「ここがいい!」と思えるホームに出会うことができました。「入居決定」は体験入居をしてから、ということになります。息子も、家族も、希望を胸に、その日を待ちわびています。

ぜひとも、いいご報告ができますように。

 


 


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