旅のフォトエッセイ:奇跡を呼ぶ4人の仲間2022年04月30日


コロナ禍の世の中になって、緊急事態宣言の出ていないゴールデンウィークは、3年ぶりだという。そう言われれば、たしかにそのとおり。ようやく解放されたかのように、人出はかなり増えている。もちろん、感染防止には注意を払ってのことだろう。

そこで私も、旅のエッセイを解禁としたい。じつは、感染拡大の大波をかいくぐっては、小さな旅行に出かけてきた。いろいろと忖度もあり、それをブログに書くことだけは自粛してきたのだった。

  

私には、同じマンションで一緒に子育てをしながら家族ぐるみの付き合いをしてきた仲間がいる。今では酒好き旅好きの気の合うオバサン4人グループとなった。

これまでに、北は北海道の雪まつり、南は沖縄まで、ヨーロッパへも遠征して、いったい何回旅行をしたことだろう。

何といっても記憶に残るのは、2008年と2017年の2度の弘前城公園や、2014年の京都・奈良のお花見ツアーだ。いつも晴天に恵まれ、満開の桜が迎えてくれた。

一説によると、日本三大桜の名所とは、吉野山、弘前城、高遠の桜だという。

となれば、残すは長野県の高遠の桜。ぜひともいつものメンバーで見に行きたいと思っていた。そして、ついにこの春、実現したのである。

 

車で出かけることも考えたけれど、バスツアーに参加して、欲張って信州のあちこちの桜名所を回ろうと思った。開花予報によれば、高遠の桜は411日が満開。そこで見つけたのが、13日出発の12日のツアー。忙しいスケジュールの私たちには打ってつけの日程だ。

気になるのは天気予報。初日は晴れるようだが、二日目は雨マークが消えないままだった。

 

出発当日は、予報どおりの快晴、初夏のような気温だ。

小諸の草笛という名物信州そばのお店で昼食をとる。食べるのが遅い私には、ちょっと時間が足りない。慌てて食べ終え、すぐ隣の小諸城址の懐古園を見て歩く。▼

 


その後、須坂市の臥竜公園へ。大きな池の周囲800mに、ぐるりと桜が並ぶ。満開の染井吉野はもちろんのこと、枝垂れ桜や黄緑色の八重桜など、種類も豊富で楽しめた。▼


 



夕方近くなると、長野県を北上し、県境を越えて新潟県へ。高田城址公園の夜桜を見物する。

バスを降りて歩き出すと、小ぬか雨が降ってくる。まあまあ、黄昏時の雨にかすんだ夜桜も風情があっていいのでは……? とプラス思考の私たち。

どんなに強がっても、明日の高遠は雨だろうなあ、と半分諦めの心境だった。

 



翌朝も、雨はやんでいたけれど、今にも泣きそうな空。天気予報は、ずばり雨。それでも私たちは晴れ女を自認しているのだ。雨が降っては沽券に関わるというもの。何とか4人のパワーを結集して、雨を吹き飛ばしたい……。しかし、その願いもむなしく、道中、バスのワイパーは動き続けていた。


伊那市の六道堤の桜という名所も、きれいだった。が、この曇天。▼


ところが、高遠城址公園にもうすぐ到着という頃になると、雨が止んだのである。しかも、園内の桜は、これ以上のつぼみは一輪もないくらいの100%満開! 

ここの桜はコヒガンザクラという濃いピンクでやや小ぶりの花が愛らしい。








さらにさらに、私たちが園内で桜をめでて、そろそろ帰るころになると、今度は風もないのに急に桜が散り始め、紅白のトリの紙吹雪か、宝塚のグランドフィナーレか、というほどの豪華な桜吹雪となったのだ。

明日までひとひらも残さないで、今日の私たちのために、桜の力を振り絞ってもてなしてくれているかのようだった……。

 

この日の桜のことを、私たちは高遠の奇跡と呼ぶことにした。




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