おススメの本『木挽町のあだ討ち』 ― 2023年07月02日
先ほどまで、大河ドラマ「どうする家康」を涙ながらに見ていました。
「鎌倉殿ロスだから、家康は見たくない」という友人もいます。マツジュンがタイプでないという友人もいます。……といった感じで、私の周りでは、ちょっとばかり視聴率が低そうです。
私はといえば、いつものように、日曜午後8時は大型テレビにかぶりついて見ております。
現代劇みたいでチャンバラシーンも少なく、重厚感もなく、従来の大河ドラマがお好きな方にはつまらないもしれません。風変りすぎて。
現代人が描く〈戦国時代劇〉だと思えば、それなりにおもしろいですよ。
なんといっても、私にはこれを見る理由があるのです。
月に一度、浜松のカルチャースクールで、「初めてのエッセイ」の講師を務めています。浜松愛にあふれた生徒の皆さんの影響で、私もすっかり浜松びいきになりました。
そして、ちょうど一年前の今ごろ、浜松城を訪ねました。興味も倍増するというものです。
前置きが長くなりました。
そうそう、大河ドラマの今回は、家康の妻と息子の信康が謀反の罪で、自害するシーン。今生の別れが描かれました。
それを見ながら、思い出していたのは、昨晩読み終えた本のことでした。
それが、『木挽町のあだ討ち』。著者は、永井
紗耶子さん。
じつは、今月発表になる直木賞の候補5作の中のひとつで、唯一の女性作家です。
私はいつも女性を応援したい。男女格差が先進国の中でもほぼ最下位の日本、女性に頑張ってほしいのです。というわけで、読み始めたのでした。
初めて読む作家ですが、同じ大学の文学部卒という経歴に親近感がわきます。
これまでの著書には時代小説が多いようですが、流れるような読みやすい文章、武士道についても、市井の人々の生き方なども、肩肘張らない深い洞察が感じられます。
そして、なんとも胸のすくあだ討ちでありました。
ところで、6月2日の記事に、「直木賞を読む」というエッセイを載せています。
現在も直木賞作品を読破するという目標は続いていますが、〈直木賞を受賞する前にその作品を読了する〉という二つ目の目標も持っています。
いまだ達成できたことがないのですが、この本はいけるかもしれない、とひそかに期待しています。
今年上半期第169回直木賞の発表は、7月19日です。
さて、ドラマの自害シーンと、小説の中のあだ討ちシーン。同じか否か。
ぜひ、皆さんも、だまされたと思って、この本を手に取って確かめてください。