ニーハオ、上海!:②上海の美味しいものたち2024年12月08日

  

中国初上陸で、中華料理は大きな楽しみのひとつでした。

そんな親の思いにこたえようと、娘があれこれ考えて選んで、必要なら予約も入れておいてくれました。

 

夜に到着して、翌朝はまず街に繰り出して朝ごはんです。8時ごろでも下町風の商店街はすでににぎわっていて、湯気の上がる店もありました。営業は朝だけという店もあるそうです。

中国では女性も仕事に出るので、朝ごはんを家族そろって自宅で食べるという習慣はあまりない、と聞いたことがあります。

娘のおススメは、焼き小籠包。小籠包なら日本でも食べたことがあるけれど、この〈焼き〉が美味しいのだとか。目星をつけておいたという店を目指します。

 

新装開店の店には行列が▼


肉屋の店先で、ハガキより大きいぐらいの包丁で肉を切り分ける(というより、ぶった切るという感じの)人、それを見守る人たち。


これが、焼き小籠包。大きな鉄板のような鍋で転がして焼き、ゴマとねぎをトッピング。

調理は店の奥ではなく、道路に面したガラス張りの調理場。女性が何人もいて、せっせと手を動かして、作っていました。

店内は、ちょっとレトロな雰囲気。一人で朝ごはんを食べている男性客が多かったです。



アツアツのところに、お酢の利いたタレをつけて食べます。まあ、美味しいこと! 

初中国の初シャオチー(軽食)は、本当にハオチー(美味しい)。忘れられない味になりました。


 

11月といえば、上海蟹のシーズンです。この貴重な時期に行くことになったのは、ラッキーこのうえなし。2日目の昼食に、新光酒家という人気のお店へ。





カニ丸ごとよりも、むき身の料理がとても美味しい。アスパラと炒めたり、ソースと絡めたり。とくに、パクチー大好きな娘と二人で、山のようなパクチーと大豆と炒めたような一皿、ぺろりと堪能いたしました。

もちろん、陶製のボトルに入った紹興酒も、毎日飲んでいたあっさりしたチンタオビールも、大変おいしゅうございました。


 

3日目のランチは、ミシュラン2つ星の中華料理店へ。

喜粤8号/CANTON 8という元は香港料理のシェフが、上海らしい広東料理にアレンジした高級店だそうで、娘の一押し。

下町のようなごみごみとした地域に、タクシーでたどり着きました。





店構えはこざっぱりとして、従業員の制服はちょっとおしゃれ、食器類もちょっとあか抜けている印象で、お客さんたちも、いかにもちょっと……という雰囲気。

 




 


フランス料理でおなじみのオマールエビは、くどいホワイトソースではなく、あっさりとやさしい味で、エビのうまみがよくわかります。

ありふれた酢豚とはいえ、今まで食べた中で一番! 周りはカリッと、中はジューシー。プロの味です。

たかがチャーハン、されど広東料理のチャーハンは逸品でした。

広東料理の特色は、甘辛醤油味。それが濃すぎずまろやかで食材本来の味をしっかり残していて美味しい。

私は四川料理のような辛すぎるのは苦手だけれど、一切それを感じませんでした。


 

ただし、最後のデザートのこれは!

お汁粉のようです。確かに小豆で作られています。が、ひとさじ口にすると、ほんのりと甘い小豆の味の最後に、舌の奥に柑橘類のピールのような苦みが残るのです。「私の体の半分はお砂糖でできている」と豪語するスイーツ大好きな私ですが、どうしても食べきれず、残しました。ごめんなさい。デザートを残すなんて、生まれて初めてかも。

 

ちなみに、このレストランは、2年前に銀座に上陸したとのこと。懐かしくなったら、行ってみようかと思ったり、いやいや上海だったからこそ美味しかったのだと思いとどまったりしています。

どうせなら、ふたたび上海へ……というのがいいかな。 

 

                (③に続く)

 


ニーハオ、上海!:③一番のお気に入りは、ここ2024年12月16日

  

「上海に、世界一大きいスタバがあるらしい。行ってみようよ」

「え、スタバなんて日本にだってたくさんあるじゃない」

上海の街を歩けばどこにだってスタバはあるし……、ただ大きいというだけでわざわざ見にいくの? とあまのじゃくな私は思いました。

 

が、しかし。

午後の便で帰国という日の朝、早起きして8時の開店に合わせて行ってみたら、いつも行列ができるらしいけれど、平日ということもあって、お客さんは少ない。

しかも、一歩中に入れば、フレッシュなコーヒーの香りに満ち満ちている。

スタバなんて東京にだってあるし……と思っていた私は、大まちがい!

ワンランク、いえ、ツーランク上の店舗だったのです。

 


スターバックス ・リザーブ・ロースタリー(Starbucks Reserve Roastery)という名称で、2014年にアメリカのシアトルに1号店ができて、上海には2号店として2017年に完成。南京西路駅のすぐそば、目抜き通りの角地にあります。
2階建ての広さは2,700㎡あるそうで、普通の店舗の10倍近い印象です。(もっとかも?)

大がかりな焙煎機の装置があり、自家製パンやケーキも店舗内で焼き、お茶の販売も、さらにはアルコール類をおくバーまであり、スタバグッズの種類も充実の品ぞろえなのです。


▼内部は、天井も、椅子もテーブルも、ほとんどが木材。


ここが焙煎工房▲


パンの販売コーナー▲ 店員さんたちはみな、それぞれ好みの帽子をかぶっていてオシャレ。デニッシュパンからクロワッサンサンドやピザまで、たくさんの種類が並んでいます。出来立てで本当に美味しそう。


迷い迷って、やっぱり大好きなデニッシュをチョイス。レーズン・ピスタチオ味と、シナモンロールを娘と半分こして食べました。どちらも直径15センチほどで、ボリュームもおいしさも満点。ちなみに1つ630円ほど。シナモンアップル・マキアートと一緒に。

クロワッサンサンドは普通のソーセージときゅうりのサンドで、1050円。店内で淹れ立てのブレンドコーヒーは3杯分たっぷりポットに入っていて、お値段1600円ほど。
決して安くはないけれど、上海最後の朝食として、思い出に残りました。


2階に上がる階段を下から見上げて一枚▲

吹き抜けになっているので、2階から1階を見下ろすこともできます▼

2階にはバーやお茶のカウンターがありました。




▲充実のグッズたち。早くもクリスマスの飾りも。


ゆっくりと店内を見て歩き、写真をシャカシャカと撮り、出来立てパンの朝食をいただいて、しっかりと自分用のおみやげも買いました。

上海限定のタンブラーは、上海の人気スポットのかわいいイラストが。

さらに、オリジナルのプリントもオーダーできるというので……▲

ちなみにタンブラーの写真は、帰国してすぐに稲城教室があり、その時に稲城のスタバで撮りました。もちろん、中には熱々のコーヒーが入っています。

 

思いがけず、素晴らしかった。
ここの魅力は、広さや美味しさだけではなく、アメリカや日本のスタバにはない、上海ならではの魅力そのものなのかもしれない。伝統に胸を張る一方で、新しいものもすかさず取り入れて、前に進んでいこうとするこの街とその人々。そんな印象を持ったのでした。

 

上海の最後に訪れて、イチ押しの場所となりました。

皆さんも上海にいらしたら、ぜひ!


ニーハオ、上海!:④サイチェン、上海!2024年12月22日






最後の夜は、近くのホテルのちょっとリッチなレストランで、北京ダックをいただきました。もちろん、とても美味しゅうございました。


横のテーブルには、小学生ぐらいの男の子と父親らしきふたり連れがいる。こんな上等な店にふたりきりで?

「お母さんはいないのかな」と娘に小声で言うと、「まだ働いているんじゃない?」との答え。中国は女性も当然のように仕事を持っているのでした。

彼らは富裕層に見えました。男の子は大きなメガネをかけて名探偵コナンのように賢そう。しきりと私たちのほうを気にしています。

それから、お父さんに何か話しかけました。

娘の通訳によると、

「この人たち、日本語を話している」と言ったという。

でもお父さんはにこりともせず、さっさと帰る支度を始めていました。

 

マスコミの情報によれば、中国人の9割が「日本は嫌い」だといいます。それでも、日本に滞在経験がある中国人の場合は、「嫌い」の割合がぐっと下がるとか。もちろん、どこまで信ぴょう性があるのか、わかりません。

とはいえ、日本人が襲われる事件もあり、心配な事態だということだけはわかります。国家のあり方が違って、情報操作もされているそうですから、国民感情も日本人と同じように分析はできないのかもしれません。

 

娘は上海だけではなく、中国各地に出張をしたり、旅行して回ったりしています。

「くれぐれも気をつけてね」と言えば、

「大丈夫。私は黙って歩いていれば、中国人にしか見えないから」とのたまう。

まあ、たしかにそうだけれど、他の国に行ったって、日本にいたって、親の心配は尽きないのでしょう。

ともかく、彼女が帰国する日まで、無事を祈り続けるしかありません。

 

 

これで最終章です。

次回から、南フランスの旅のフォトエッセイシリーズを再開します。

どうぞまた覗きに来てくださいませ。



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