旅のフォトエッセイ:東松島へ(6)~あの店・この人~ ― 2013年06月19日
月に一度、美味しいものが銀座に運び込まれて、それを販売するお手伝いをしてきた。
だからおのずと、その生まれ故郷、生み出してきた人々に、興味を抱くようになる。
物産展に関わる人たちが、Facebookでつながる。毎日たくさんの情報がもたらされる。
こうして、私には縁もゆかりもなかった土地が、特別の場所に変わっていったのだった。
ここの商品も、銀座で販売してきた。そして、店員のゆきさんとも親しくなった。

娘と写っているのがゆきさん。
長身を生かしたバレーのエースだけあって、宝塚の女優さんみたいで、かっこいい。
しかも、お店の商品のことは、じつにきめ細やかに説明してくれるので、美味しいものは彼女に聞けば間違いない。まちんどのカリスマ店員なのだ。

そのお隣の店「あごら」は、地元の食材で美味しいものを食べさせてくれるお食事処。
清美さん、千佳子さん、ゆきさんと5人で楽しくお昼ご飯。


娘は海鮮丼、私はお隣の石巻市の特産、えごま豚のメンチカツ定食をいただく。
メンチカツは、期待どおりに美味しかった。
さらに、意外な美味しさにうれしくなったのが、白いご飯! シャキッと甘くて、噛むほどに味が出る。
「私たち、いつも美味しいお米を食べてるのよ」と、清美さんがにこっと笑った。
そういえば、生協で予約購入しているわが家のお米も、宮城産だ。

この日は、その本物をまのあたりにして、ちょっとカンゲキ!
物産展のときに、甘党の私が熱心に販売したのは、ジュリアンのお菓子。

地元産の米粉を使ったマドレーヌや、名物ずんだ餅ならぬ「ずんだ大福」。和洋ミックスの味がなんともいえず美味。甘党を満足させるだけの、妥協のないきっぱりとした甘さ。これがまた安心な美味しさのだ。





本当にごちそうさまでした。
(日持ちのきく焼き菓子は、たくさん買って帰りましたので、あしからず)
さて、昼間は甘党、夜は日本酒党の私、物産展ではこちらのお酒も熱心に宣伝販売に努めてきた。

この日本酒は、仮設住宅の一角に店舗を構える相栄商店の店長、高志さんのオリジナル。

ダンディな彼は、代々続く酒屋さんでありながら、大曲浜の漁師さんでもあり、しかも名スキーヤーときている。

ごちそうさまです! これからも、がんばっぺ、大曲浜の皆さん……!
そして、もう一人、忘れてならないマルヤ鮮魚店のゴローさん。

いつも穏やかな笑みを浮かべて、物静かな雰囲気からは、荒海に漕ぎ出していくイメージはないのだが、もとは遠洋漁業の漁師さんだったという。わが子の誕生を機に陸に上がった。漁師ならではの味を、このたくましい腕で作り出す。
イカの塩辛、イカの一夜干し、漬け牡蠣、漬け魚、殻つきの牡蠣ポン(パックのままレンジでチンできるスグレモノ!)、などなど。
物産展でも何度かご一緒した。口数が少ないのは、頭のなかでいつも、美味しいアイデアと、面白いことを考えているらしい、とわかってきた。
私たちが食事の後、訪ねていくと、
「そうか、腹いっぱいなのか……」
と言いながらも、火をおこし、冷蔵庫からホタテの串刺しを出してきて、焼いてくれた。



正直に告白すると、私はあまり貝類を得意としない。ホタテもしかりだった。
しかし! 黒コショウだけでの味付けで、こんなに美味しいとは……!
ホタテが、こんなに美味しい食べ物だったとは……!
人生のヨロコビがまたひとつ増えた。ゴローさんに出会えてよかった! 心底そう思った。

コーヒーまでいれてもらって、本当に、ごちそうさまでした!!
牡蠣ポンは、宅配便で送ってもらい、わが家でも大好評だったことはいうまでもない。
ちなみに、彼の本名は康さん。なぜ、ゴローなのか。
「今度、教えてやる」とニヒルに言ったきり、いまだに教わっていない。
~あの店・この人~ さらに続きます。
次回も、とっておきの、もじどおり垂涎の写真をご覧いただきます。乞うご期待。
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おかげさまで、「エッセイ・随筆」部門の人気ランキングにおいて、
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どうもありがとうございます。
コメント
_ kattupa ― 2013/06/20 04:54
_ hitomi ― 2013/06/20 18:38
けっして、「被災地の克明なルポ」をつづっているつもりはありませんが、お見せしたい写真とともに、私が見聞きしてきたことをお伝えできたら、と思っています。
どうぞ、たくさんお買い物なさってくださいね。よろしくお願いします。
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ややもすると、忘れがちな被災地のことを克明にルポされて、ジンときますね。
現地まで行くのは無理ですが、せめてネットで特産物を求めてみましょう。