『デトロイト美術館の奇跡』を読んでから観るか、観てから読むか! ― 2016年10月22日
この本の著者は、私の好きな原田マハさん。
そして現在、上野の森美術館で開催されているのは、デトロイト美術館展。
そこで、読んでから観るか、観てから読むか、という悩ましい問題が生まれたのです。
私が興味を持ったのは、本が先でした。大好きなマハさんの新刊でもあり、著者お得意の美術にまつわる物語のようです。
これは読まないわけにはいきません!
さらに、デトロイト美術館展のために書かれた小説だということを友人が教えてくれました。
しかも、表紙のセザンヌの人物画が、この美術展にやってくるというのです。
これは観に行かないわけにはいきません!
さらにびっくりなことに、この美術展では、月曜・火曜に限り、写真撮影が許可されるというのです。
ヨーロッパの美術館では当たり前のように写真が撮れます。パリのルーブル美術館では、モナリザや、ミロのビーナスとのツーショットを写して、ミーハー気分も堪能しました。
日本では非常に珍しいのではないでしょうか。
(ただし、ピカソの6点をはじめ、その他数点の作品は、SNSなど不特定多数への公開は禁止とのことです)
私は結局、本を読み終わらないうちに、美術展の入り口に来ていました。
今年の5月、終了間近の若冲展を観るため、やはりこの上野公園で、平日でも3時間行列して待たされた記憶がよみがえり、とにかく一日でも早く行かなくては、とスケジュールの空いた日に上野に急いだのです。
開催から4日目でした。
若冲展の教訓は見事に生きて、館内は空いていました。
ゆっくりと解説を読み、絵に向き合い、そして、最後に写真を撮る。
なんと優雅な美術鑑賞でしょう。
本の表紙の絵の前でさえ、このとおりです。
ポール・セザンヌ作『画家の夫人』。
彼女の衣服は、表紙の写真より青みが強く、そして淡い。どちらかというと、ブルーグレイという感じでした。
やっぱり本物を見なくては、見たことにはならないのだ、と思いました。
自分で本を持って、絵にかざして、パチリ!
空いていたので、こんなことも簡単にできました。
本展のポスターにも使われているフィンセント・ファン・ゴッホの『自画像』。
クロード・モネの『グラジオラス』。明るい陽光が満ちあふれています。
アンリ・マティスの『窓』。
白いカーテンの帯状の縦線、窓枠の縦と横のライン、椅子の脚、テーブルのふち、カーペットのジグザグ模様……という具合に、目線がたくさんのラインに沿って絵の中を移動していく。いつまでも見飽きない絵ですね。
芸術の秋。
皆さまもぜひ、デトロイト美術館展に足を運ばれてはいかがですか。
会期は来年の1月21日までですが、なるべくお早めに!
ところで、この本は100ページほどの短編で、すぐに読み終えました。
マハさんの美術にまつわる物語は、月並みな言い方ですが、実在の絵に新たな命を吹き込んでくれるようで、わくわくします。
ほこりをかぶって眠っていた宝物が、磨かれて輝きだすようです。
読んでから観るか、観てから読むか。
どちらでも、楽しめるのは同じかもしれませんが、私のように、本を買ってから観ることをおススメします。
その訳は、本にはさまれているしおりで、入場券が100円割引になりますから。
コメント
_ 米国ののろまな通信生 ― 2016/10/24 11:16
_ hitomi ― 2016/10/25 10:30
ぜひぜひ、小説をお読みください! 原田マハさんの小説を読むと、登場人物だけでなく、そこに出てくるすべてが好きになってくるのです。魅了するだけの筆力を持つ作家だと思いました。
そして、私こそ、散骨のお話に、興味津々です! ぜひエッセイにして読ませてくださいね。
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久しぶりに訪問したらデトロイト美術館のお話でびっくりしました!
ゴッホの自画像が日本にトラベル中なのですね〜 よく行ってました。そのデトロイト美術館の小説だなんて興味津々です! 読んでみたいです。ちょうど昨日、デトロイトに行ってきたところなのです。デトロイトに小さな島があり綺麗な公園になっていて日本から寄付された桜の木がありました。経済破綻しましたが開発が進んでいる場所もあるよう。がんばって息を吹き返してもらいたいです。
(亡くなった義父の灰をその小島にばら撒きに行ったのでした。青空で風の強い日だったので、まるで映画のシーンのように、義父の灰が空に舞い上がって消えていきました。いつかエッセイにしたいシーンでした。。。)