フォトエッセイ:花嫁の母として②2017年02月02日


初めてこしらえたリングピロー。娘のために、娘の小さいころからのことを想いだしながら、ちくちくと縫い、仕上げていった。

昨年1223日の「花嫁の母の“べっぴん"」で、写真とともにつづっている。

 

当日の結婚式では、介添えの女性が、うやうやしく捧げ持ってきた。

二人は、それぞれ相手のイニシャルに留めてあるリボンをほどき、指輪を手に取り、相手が差し出す薬指にはめる。

緊張してこちこちになっている新郎の指には、なぜかなかなか入らずに、参列者から失笑がこぼれたのもほほえましかった。



そして、誓いの言葉を二人で読み上げる。

「喧嘩をしたときは、お酒を飲みながら、よく話し合って……」

これには私も思わず笑ってしまった。きっと新婦の文案にちがいない。

 


ガラス張りのホールは、青い空が見え、日差しがあふれている。

ステージの右手にはチェロの生演奏、左手にはハープと女性歌手。Amazing Grace などの曲を、美しく澄んだ声で歌ってくれた。

祝福を贈るかのように、歌声に合わせて、庭の木々が風に揺れていた。

 


〈続く〉




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