ついに藤井風のライブへ♬2022年06月09日


 

昨年6月に、風沼にハマった。その不思議さを解き明かそうと、「藤井風の不思議」というエッセイを書いた。2021628日の記事)

それから風沼の中で1年がたち、人気急上昇中の彼のレアなライブチケットをついに手に入れることができた。


 

[alone at home Tour 2022]

という名のライブツアーで、全国各地のホールを巡って32回の公演を開催するという。チケットはもちろん、抽選。しかも、エントリーできるのは一人3ヵ所まで。当選も1回だけという厳しい条件が付いた。公平に、一人でも多くのファンに見に来てほしいという主催者の思いなのだろう。

ひとりで行くことも考えたけれど、私の風話に興味をもってくれた親しい友達を誘って、2名分のエントリーをした。

申込みも、当選したときのチケットも、すべてスマホのオンラインだ。2名分のメルアドと電話番号を小さな文字で入力する。オバサン世代だってメガネをかけて何とか細かい文字に対応していかなかったら、老後は暗黒の世界となりかねない。文字どおり必死にならないと、死活問題なのである。

「推し」先輩のアドバイスに従って、希望者の多い大都市周辺を避けて、地方都市にエントリーした。

当選をゲットできたのは、やはり新幹線を利用して片道2時間半の浜松での公演だった。

 

浜松は、月に一度、カルチャースクールのエッセイ教室があって訪れている地。せっかくだから、当日は1泊して浜松観光も楽しもうと二人で計画をたてた。

午前中に浜松着。最初に訪れたのは、銘菓うなぎパイの春華堂が新しく造った「スイーツバンク」。お菓子屋さんやカフェ、さらには銀行やオフィスまである複合施設なのだが、その建物を覆っているのが、実物の13倍の大きさのテーブルたちなのだ。



新聞で初めてその写真を見た時、行きたいと思った。実際に、椅子の脚は電柱のようだし、テーブルの上から垂れている新聞紙は実にリアル。手が届くわけではないけれど、写真に撮れば引っ張っているみたい?▼


▲春華堂の紙袋。


さらに、トイレは、とてもトイレとは思えない。

▼キッチンではない。トイレの手を洗うコーナー。


2階へ続く階段の前には、

「ここから先は働く小人の世界です」という立て札が置いてある。▼

まさにアミューズメントパークだ。

カフェで美味しいスイーツを食べ、うなぎパイやそのほかのお菓子をおみやげに買いこんだ。

(本題からは寄り道ですが、浜松観光ならここが一押し。施設の空間づくりを手がけた丹青社のホームページで、上空からの写真も見られるので、ぜひ!)

▲うなぎパイが刺さったドリンクと、掛川茶のラテ。

 

浜松と言えば、昨年まで餃子日本一に輝いた浜松餃子だ。昼間の時間帯でも営業中の店を選んで、石松餃子の駅ビル内の店舗へ出向いた。

具には野菜がたくさん使われ、もやし炒めも一緒に食べる浜松餃子は、あっさりしていて、たくさん食べられる。静岡麦酒と一緒にいただく。

 

かくして、本日のメインイベントに向かうエネルギー補給もすんで、いざライブ会場へ。開場にはまだ30分もあるのに、すでに行列ができている。やはり女性が多いが、男性どうしで来ている人たちや、制服を着た高校生、ママと一緒の小学生などもいて、ファン層の厚さを思う。そう、彼の音楽には年齢もジェンダーも関係ないのだ。

それにしても、皆おとなしい。コロナ禍の暮らしに慣れすぎたせいか、マスクを付けたまま声を出さない。本来なら、待ちきれないワクワク感に満ちているはずなのに、ちょっと寂しい気がした。マスクを外すようになれば、もっとはしゃいで喜びを表す日が来るだろうか。

グッズ販売で手に入れた「きらり」のTシャツを着て、友と二人、興奮を持て余しながら、開場の時を待った。


▲胸に大きなきらり。背中にはミニサイズのきらりが1ダース縦に並ぶ。

 

ワンマンライブだというので、ステージにピアノが一台ぽつんと置いてあるようなイメージを勝手に抱いていた。とんでもなかった……。

ここから先はネタバレ厳禁、書かないでおく。まだツアーは3分の1が終わったところだ。これから見る人のお楽しみは明かさない。

ただし、ご当地ネタなら、ほかで再演されることもないだろうから、書いてしまおう。浜松ネタとなったのは、ほかでもないうなぎパイ石松餃子だったのだ。その日のライブ前に私たちが楽しんだ二つともが大当たり。さすがはくじ運が強かった私たち、と自画自賛。

袋に入ったうなぎパイひとつ、彼はピアノの上に置いて弾いた。浜松へのリスペクトね?

石松餃子は、裏に磁石が付いた作り物の餃子と、お店のお品書きが登場した。

「磁石だから、ピアノの上には置かないで……」とつぶやいた彼に、楽器を大切にするやさしさを感じる。

 

私たちの席は残念ながら、遠くから小さな彼を見下ろすような3階席だった。

それでも、期待以上のすばらしい生の演奏を見て、聴いて、「ロンリーラプソディ」の歌詞のように、同じ空間にいて、同じ呼吸をしている。それだけでよかった。あっという間の2時間、至福のひとときだった。

 

 

「燃えよ」と歌うから燃え尽きて、1週間が過ぎた。梅雨入りした今は、「青春病」ならぬ気象病に冒されて脱力状態……。

そして、1年前の私自身の分析は正しかった、と改めて思う。ライブを見終えて、確信している。

ベジタリアンの彼のパフォーマンスから、溢れるほど心のビタミンをもらった。明日からもがんばろう。


 

「きらり」、「ロンリーラプソディ」、「燃えよ」、「青春病」、すべて彼の曲のタイトルです。

全曲ご存じなら、あなたも風沼のお仲間ですね♪


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