ご報告のためのエッセイ:「姉からのLINE」2023年02月20日



2日前のこと、

「ご心配をいただきましたが、手術も無事終わり、経過良好で昨日退院してきました。これでまた普通の生活に戻れると思いきや、のどに大きな傷を抱え、術後からの頭痛が抜けず、まだまだ病人状態です。回復が遅いのは年のせい?!と落ち込んでいます」

「ひとみさんの口から落ち込んでると聞くのは、68年間で初めてよ」

私からの報告に、そんな返事をくれたのは3つ違いの姉でした。

意外でした。私はいつだって誰かに愚痴をこぼし、弱音を吐いては、励ましの言葉をもらって支えられてきたと思っていましたから。

そんなふうに突っ張っている妹だった? ……いやいや、これはいつもの姉流の励まし。達者な毒舌の裏が読めたら、ちょっとほろりとして、思わず涙ぐみました。姉の言葉はさらに続きます。

「私たちの母譲りの遺伝子は100歳生存可能なんだから、老年期前の必要なメンテナンス。7080代で脊椎やられている人もたくさんいるから、今のうちに手を打ててラッキーなのよ。

回復しない病気ではないので、ここは心を病まないように、好きな音楽でも聴いて乗り越えて!」

 

たしかに姉の言うとおりです。未来に向けての治療だと、自分でも納得して手術を選んだはず。回復には若い頃の何倍も時間がかかるのは仕方ない。ここで落ち込んでいないで、今日よりは明日、明日より明後日、少しずつ回復に向かうことを信じていましょう。

 

散歩を兼ねて、遠回りで買い物に出ると、久しぶりに通る道沿いの畑で、白梅が花を咲かせていました。これからは次々と花が開き、春はかならずやってくる。何も焦ることはない。そう思えました。

 


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