ときめきのパリが、悲しみのパリに…… ― 2015年11月24日
「29日から1週間、友人とパリに行ってきます!」
そう、ご報告するつもりでしたが、残念ながら、本日キャンセルしました。
ご心配くださった皆さん、ありがとうございます。
パリ同時テロから11日が経ちました。
旅行会社の情報では、
「パリは平穏を取り戻し、平常どおりの営業、運航をしています」
「シャンゼリゼ大通りのイルミネーションが点灯しました」
などと、安心させるような印象のものがほとんどです。
パリ市民は、気持ちのうえでは恐怖を感じながらも、これまでどおりの暮らしを取り戻すことで、テロに屈しない強さを表そうとしているのでしょう。
とはいえ、実行犯が逃亡中とのこと、非常事態宣言が3か月延長されること、オランド大統領の発言のみならず、テロに対抗する世界情勢がますます厳しさを増していること、パリ開催のCOP21に出席する安倍首相も同じ日に向かうこと……など、現状を考慮して、泣く泣く中止を決めました。
「これは戦争だ」と言われているところへ、のこのこ出かけていくほどの急用もなければ、自己責任を負う強さも持ち合わせません。
同行の友人には、パリ滞在中の長男に気がかりなことがあって彼に会いに行くという、私にはないもう一つの目的がありました。彼が事件に巻き込まれることはなかったのですが、友人の心配はさらに募ったことでしょう。
それゆえ、私からキャンセルを言いだすことがはばかられて、ずいぶん悩みました。
結局、彼女自身も熟慮のすえ、諦めようと言ってくれました。
本当に不運でした。いや、パリに行く前でよかった、と思うべきでしょう。
私にとってフランスは、若いころからあこがれて、親しみを感じてきた国です。だからといって、今回のテロの犠牲者だけが特別だと言うつもりはまったくありません。世界各地で起きている、愚かな憎しみに満ちた戦いや攻撃のかずかず。それらによって亡くなった命のことを知らされるたびに、いつも胸が痛みます。
それでも今回の事件はことさらでした。私の現実に直接影響を与えてきたのですから。犠牲者の魂がすべて天国に迎えられるようにと祈るばかりです。
そして、パリの悲しみに寄り添いながら、世界中のテロの犠牲者を悼み、平和を祈りたいと思います。
いつかまた、平和が訪れたパリに飛ぶ日を、夢見ています。