「ちょんぼり」という言葉2024年03月14日


 コロナ禍以降、月に一度、エッセイ仲間数人で、Zoomを利用したオンライン合評会を続けています。

先日の会でのこと。私のエッセイは、老人ホームに入居した義母の様子をつづったもので、その中にこんな一文がありました。

……(義母は)一ヵ月の献立表を虫メガネでくまなくチェックしては、今日のは大したことはなかった、ちょんぼりだった、などと批評をする。……

すると、あるメンバーから、

「ちょんぼりって、なあに? ちょっぴりとは違うの?」

という疑問が投げかけられたのです。ほかのメンバーも、同じように「?」という顔をします。「しょんぼり、でもないの?」と言う声も。

私のほうこそ、びっくり! 私が日常的に使う言葉を、長いお付き合いのみんなが知らない、と言うのですから。

「お義母さんはどちらのご出身?」

夫の家族も、私の両親も、戦前から東京で暮らしてきました。どこかの方言とも思えません。

逆に、合評のメンバーも、ほぼ同じような言語環境のはずですが……。

 

夫に尋ねたところ、

「ああ、お父さんは鎌倉の出身だったから、神奈川県の方言かなぁ」

そう言えば、私の両親は転勤族で、茅ケ崎と横浜に移り住み、50年近く神奈川県民でした。

どうやら夫の説が正解かもしれません。

 

ちなみに、広辞苑では、「ちょんぼり」は「『ちょんびり』に同じ」とあり、「ちょんびり」を引くと「少しばかり。ちょっぴり」とある。

でも、微妙に違う気がします。

つまり、合評でコメントされたように、「少ししかなくて、しょんぼりするような気分」を含んでいる。ちょっぴりで、しょんぼり、というわけです。

だからこそ、食べ物に使うことが多いようです。

「お釜にはご飯がちょんぼりしか残っていない」

「箱ばかり立派で、中のお菓子はちょんぼり」という具合に。

贈り物、お祝い金などにも、謙遜の気持ち、申し訳ない気持ちを込めて、

「ちょんぼりだけど、もらってね」のように使える気がします。

 

さてさて、これをお読みくださった皆さん、「ちょんぼり」を知っていましたか。

使っているならば、あなたも神奈川県民でしょうか??

 

 今日は、ホワイトデー。画像はfreepikからお借りしました。


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