おススメのアニメ映画『未来のミライ』2018年08月15日


わが町で家族と過ごす夏休み第2弾です。

 

夫の第二の職場は、熱帯環境植物館。つまり、生き物相手の仕事なので、職員は一年365日、交代で彼らの世話をします。世間の人々と同じ日に、休暇をとれるとは限りません。

逆に長男は、世間並みに夏休みがあるので、半分だけでも一緒に休めるように、夫が調整します。そして、毎年行くことにしているのは映画。



 

今年は、細田守監督の『未来のミライ』を観ました。

じつは、夫の職場がクレジットされているのです。どうやら、植物館がモデルになっているシーンがあるらしい。そんな興味からみんなで見に行こうということになりました。

細田監督の前作『バケモノの子』がとてもよかったという友人もいたので、それなら、という期待もありました。その程度の予備知識だけで、出かけて行ったのです。

 

主人公のくんちゃん。まだ3歳か4歳ぐらいでしょうか。お母さんが二人目の子を出産して、退院してきます。

留守宅で、くんちゃんの世話をしているのは、若々しいおばあちゃんでした。お母さんの帰宅と同時に、おばあちゃんはひいおばあちゃんの介護もあるらしく、そそくさと帰って行ってしまいます。

さて、久しぶりに帰ってきたお母さんに甘えたいくんちゃん。でもお母さんは赤ちゃんにつきっきりで、お兄ちゃんのやきもちが始まります。大好きな鉄道のおもちゃを部屋中にぶちまけたり、食べるのにもわがままを言ったりして両親を困らせます。

ここで、お父さんは自分もがんばらなくては、とやさしい。(あら、どこかで聞いたような声。もしかして、星野源さんかな……??)

仕事に復帰するお母さんと、自分の仕事を自宅に持ちこんで、育児や家事をしょい込むお父さん。夫婦それぞれに、うまくいかない部分や気持ちのずれがあって、今どきの家族をリアルに描いているなあ、と思いました。

 

そんなある時、くんちゃんは、高校生になっている未来の妹、ミライちゃんに出会うのです。その場所が、熱帯植物園なのでした。ミントグリーンの色をしたヒスイカズラが、藤の花のように垂れ下がって咲いている美しいシーンです。

アニメお得意の、時空を超えた旅ではありますが、子どもたちにわかるのかなと、一瞬思いました。いえいえどうして、むしろ子どものほうが、柔かな脳みそで理解するのかもしれませんね。

タイムスリップの行き先は、時には過去。子どものころのお母さんや、戦後間もないひいおじいちゃんにも出会います。このひいおじいちゃんは言葉少なで、くんちゃんをバイクや馬に乗せてくれる、何ともかっこいい青年です。

くんちゃんは、彼らの様子を見たり、彼らの言葉をかみしめたりすることで、少しずつ成長していきます。

 

夏休み公開のこのアニメ映画は、家族連れをターゲットに、大人も子どもも楽しめる作品になっています。くんちゃんの年頃の子どもばかりではなく、若いお父さんもお母さんも、おじいちゃんおばあちゃんも、それぞれの視点から、家族のありようや、互いの気持ちを考えるきっかけになるのではないでしょうか。

猛暑の夏休み、涼しい映画館にこもってアニメを観るのも悪くないですね。

 


ところで、あとから映画の公式サイトをのぞいてみたら、やっぱりお父さんの声は、源ちゃんでした。

そして、お母さんは麻生久美子さんで、おばあちゃんは宮崎美子さんで……おやまあ、そう言われてみれば、キャラクターのお顔もよく似ていました。

ひいおじいちゃんの若かりし頃は、なんと!福山雅治さんではないですか。どうりでかっこいいと思いました。私にとって、彼の声は男性の美声ナンバーワン。いつも、カーナビの女性の声が気に入らなくて、「福山君みたいな声ならいいのに……」と独りごちているのです。それなのに、映画を見ながら、彼だとは気が付かなかったなんて。われながら、情けない。声ファン失格でしょうか……。



今日は終戦記念日です。

このひいおじいちゃんは、戦争で負傷したため、足を引きずるようにして歩きます。彼が戦死していたら、くんちゃんもミライちゃんも、この世には存在していなかった。この映画にそれ以上の押しつけがましさはありません。だからこそ、映画を見たら、平和の意味をお子さんと一緒に考えてほしい。くんちゃんのおばあちゃん世代の私は願っています。




▲ヒスイカズラの花。板橋区立熱帯環境植物館Facebookページから写真をお借りしました。

こちらは、花博記念公園のサイトからお借りしました。▼








copyright © 2011-2021 hitomi kawasaki