南フランスの旅のフォトエッセイ:㉒レ・ボー・ド・プロヴァンスにて ― 2025年08月10日

私たちは、アルルを出て、レ・ボー・ド・プロヴァンスに向かいました。
そもそも、ボーというのは地元の言葉で「岩だらけの尾根」という意味。なるほど、車で走り抜けるのは、ごつごつした岩山の道路です。
アルミニウムの原料になるボーキサイトという鉱石の名前も、1822年にこの岩山で発見された時に、土地の名をとって付けられた……と、ダヴィッドさんが説明してくれます。ああそういえば、高校生の頃に化学の授業で習った、とHiromiさんと二人でうなずき合いました。


まずは、ランチ。
美味しいと評判のアルルのパン屋さんで、キッシュを買ってきました。そう、ピクニックです。
高所恐怖症のHiromiさんは、びくびくしながら座る場所を確保。私は彼女ほどではないので、ボーの眺めを楽しみながら、美味しいキッシュを味わうことができました。

食後は、日本でチケットも買って、楽しみにしてきた場所に向かいます。
かつて採石場だった広大な空間を利用して作られた、新しい展示施設といったらいいでしょうか。著名なアート作品をデジタル動画化して、この空間の壁や床、あらゆる場所に投影するのです。アートとの一体感、没入感を楽しめます。
最近では、日本でも小規模ながら見られるようになり、私も、ゴッホ・アライブや、ミュシャ・イマーシブなど、鑑賞したことがあります。
プロヴァンスが先駆けとなり、パリでも2018年、鋳物工場だった所に、アトリエ・ド・リュミエールが誕生しました。こけら落としには、グスタフ・クリムトのデジタルアートが披露されて、いち早く見に行った友人をうらやましく思ったものです。
今回の旅を計画中に、プロヴァンスにも同じプロダクションの施設があると知り、即、必須の目的地に決めていたのでした。

▲道路沿いの入口。内部は深い洞穴と同じような涼しさだそうで、ジャケットを持参していきました。
奥に入ると、広いスペースにチケット売り場と入場口がありました。▼

この時のプログラムは、著名なアーティストではなく、古代エジプト文明の遺物や遺跡などが題材だったので、私の興味とは少しかけ離れていました。
それでも、巨大なデジタル動画は迫力があり、たっぷりと異国情緒を味わいました。
また、床も壁も石を掘ったままのワイルドな凹凸が残されているので、日常生活では体験しえない空間に身を置く楽しさもスリルもありました。





▲最後にこれまでの映像がちょっぴり投影され、クリムトやダ・ヴィンチの絵も見ることができました。
このブログでは、動画が載せられなくて、とても残念です。
(アサヒネットさん、そろそろブログサイトのリニューアルをしてもらえませんか)

その後、車を降りて、岩山の上に建つプロヴァンス城の見学へ、石畳の坂道を上っていきます。

しばらく歩くうちに、暗い雲がたちこめてきました。
「ゴロゴロゴローッ!」
突然、雷が鳴り響いたのです。
あたりの岩山や糸杉やお城に雷が落ちたりしたら……?
「危ない。下りよう!」
用心深い私。日本では毎年のように落雷による犠牲者も出る。あなどってはいけない、旅先で命を落としてはならない、と思いました。
臆病なのは私一人で、近くにいた観光客のだれも、引き返そうとする人はいません。それでもHiromiさんは、「こわがりだね~」と笑いながらも、一緒に引き返してくれて、無事に帰ってくることができました。
ランチの時、岩の上に座るのを怖がったHiromiさんのことを、私は笑ったのでした。今度は私が笑われる番。
でも、彼女は未練もあったでしょうに、「いいよ、下りようね」と、すぐに私に合わせてくれました。いつも彼女にはそういうやさしさがあるのです。
ありがとね、Hiromiさん。
そして、ごめんなさい。てっぺんのお城を見てくることができなくて。

▲その時に、坂道の途中の店で、急いで買った小鉢3つ。今朝もヨーグルトをついで食べました。食べるたびに思い出すあの日のゴロゴロゴロ……
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