新しい年を迎えて2021年01月08日

 

新年のご挨拶が大変遅くなりました。

「明けましておめでとうございます」と言えるのは松の内、つまり7日までだそうですから、またも出遅れた私です。

今年も最初からこんな調子ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

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去年を振り返れば、誰が何と言おうと、地球上の人類は新型コロナの猛威に襲われました。年が明けても、それは変わりません。

そんなコロナ禍にあって、ブログという発信の場があることはラッキーでした。「発信」だなんて、かっこつけてちょっと生意気? でもそれは真実。書く場所がある、読んでくださる人がいるということは、幸せなことです。コロナ禍に身を置きながら、日々の出来事や思いをつづってきました。

 

そして、ある日の出来事を、その晩のうちに450字に仕上げて投稿したエッセイが、「ドアノブのマスク」という題で朝日新聞の「ひととき」欄に載りました。

それが思いがけずに反響を読んで、記事にまでなったり、その後も渡辺えりさん執筆の「心に残るひととき」で取り上げてもらったりしました。

まさに、瓢箪から駒とはこのこと。照れくさいやら、うれしいやら……。それでも、障害児の子育てと、それをエッセイに書き続けてきた30年間へのご褒美のように感じられたのです。コロナ禍なのにいい年だった、と言っては叱られそうですが、素直に喜ぶことにしました。

 

さらに、今年は「ひととき」が始まって70年目だそうでだそうで、年末年始に連載する特集記事にも、ちょこっとだけ載っています。

紙面では、1230日の「投稿欄ひととき、なぜ始まったの?」という大きな記事に添えられた年表「70年の歴史と特集が組まれた主な投稿」の2020年代の欄に載っています。こちらです▼


(写真はクリックすると拡大し、もう一度クリックすれば元に戻ります)

 

また、連載記事の14日付け「ひととき ことば考 5にも、取り上げられましたが、紙面ではなく、デジタル版です。コロナ禍のさまざまな言葉がひととき欄を席巻したという内容で、私の投稿はさておき、興味深くお読みいただけるのでは、と思います。

 

◆◆

 

さて、今年は……と抱負を述べたいところですが、現在の状況では予測ができませんね。

昨年の1月には、のんきなことに「会いたい人リスト」を作って、再会を楽しみにしていました。結局、リストのうちの一人にしか会えないまま2020年は終わりました。

ブログをリニューアルしたい。そんな抱負も書いていましたが、それも実現していません。それよりも、日々新たなネタのエッセイをつづるほうが忙しかったのです。

 

そして、今日から緊急事態宣言がふたたび発令されました。今年もステイホームの時間が長くなりそうです。

そんな時こそ、見たり、聴いたり、読んだり、リモートで話したり、時間を有効に使いたい。そこからたくさん考えて、たくさん書いて、ブログで発信していきたい。それが抱負と言えば抱負です。つまりは去年と同じだけれど、それが自分らしい過ごし方のような気がします。


今年もどうぞ、覗きに来てください。お待ちしております。




おススメの本、ヤマザキマリ著『たちどまって考える』2021年01月15日

 

(アマゾンのサイトからお借りしました)


昨年の秋、アマゾンで買おうとしたら、在庫がありませんでした。ずいぶん売れているようで、広告も目にしましたから、ご存じの方も多いでしょう。

コロナ禍の今、この本を読んで考えることをお勧めしたいと思いました。

 

著者は『テルマエ・ロマエ』の漫画で一躍有名になったヤマザキマリさん。マンガだけではなく、数々の著作もあるそうですが、私はこの本が初めてでした。

テレビで目にする彼女は、明るくて早口でユーモアたっぷりで、漫画家だからこのキャラなんだろうと思っていましたが、意外にも波乱万丈な半生を生きているのだと知りました。

日本の中流家庭にのほほんと育った私なんぞとはえらい違い。お母さんの一声でイタリアに留学させられて、西洋史や美術を学び、周囲のイタリア人からもたくさんのことを学びます。その後は、生活拠点を世界各地に移しながら、数々の修羅場も体験していたのでした。

 

現在はコロナ禍のせいで、日本に滞在し、イタリア人家族と離れ離れの生活を余儀なくされていますが、毎日のように家族と電話をしては、このコロナ禍について、ああでもないこうでもないと語り合う日々を送っているそうです。時には日本のコロナ対策を批判されることもあるとか。そんななかで、イタリア人のパンデミックのとらえ方は、私たち日本人とはかなり違うことに思い至った。それはなぜなのか。彼女の考察が始まります。

たちどまって考える――タイトルは、著者自身の現在の状況なのです。

 

これは友人に借りて読んだ本なので、もう私の手元にはなく、詳しくご紹介はできませんが、印象に残っているのは、“想像力”こそが大切だということ。

世界各国、それぞれの国の歴史があり、そこに生きる民族の習慣や文化がある。その違いをよく理解したうえで、想像力を持って判断することが必要ではなかろうか……と著者は言っているように思いました。

 

そもそも、何世紀もの間、陸続きの隣国と戦争を繰り返してきた歴史を持つヨーロッパの国々。いっぽう、小さな島国に、ほぼ単一民族が住み、江戸時代は穏やかな平和を享受してきた後、開国で西洋文明を受け入れてからほんの150年ほどの日本。コロナ対策においても、同じようにはいかない。違っていて当然です。

乱暴な言い方をすれば、ヨーロッパではロックダウンという強硬な政策がとられたけれど、それは日本には不向きで、自粛要請のような緩いやり方のほうが適しているのでは、ということなのかもしれません。

マスクは個人の自由を奪うものだという彼ら。右へ倣って、皆でマスクをする私たち。マスクをしないと罰金を科する国まで現れる。それは国民性の違いであり、どれが正しいかの問題ではなさそうです。

 

さて、あなたはどう思われますか。

この本を読んで、想像力を持って考えてみてください。

まだコロナ禍の真っただ中の世界は、急ごしらえのワクチン接種がようやく始まったところです。どんな希望を道しるべに、コロナ禍の世の中を歩いていったらいいのでしょうか。




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