俳句のエール2021年02月27日

 先日、エッセイサロンのお仲間から、メールが届きました。

明るくユーモアたっぷりのエッセイを書くかたわら、俳句もたしなむ80代の華子さん。コロナ禍の今、俳句会もリモートになり、横書きでパソコンから投句するとか。そんな選考会で、華子さんの句が選ばれたそうです。

選者のコメントとともに、その句が送られてきました。

 

   春浅し 夫(つま)を残して転勤す  華

 

〈選者のコメント〉

共に仕事を持つ若きご夫妻。妻の方に転勤の辞令。迷ったか、迷わずか、転勤を決めたのですね。夫も励ましたのでしょう。

浅春の出来事であるのと同時に、現代に生きる若い夫婦のあり様を詠んで、春浅きがぴったりだと思います。

 

すぐにわかりました。華子さんは、私の娘のことを詠まれたのです。

たまたま娘の住まいが華子さんのご近所だということもあり、以前から娘のことを気にかけてくださっていました。転勤のことも伝えてあったのでした。

 

その句には、華子さんの温かなやさしい思いが感じられました。

そのコメントは、的確な表現で、句のすばらしさを私に届けてくれました。

二つがセットで、私の胸に響いた時、思わず涙が……。

 

浅い春の、ちょうどバレンタインデーの日に、離ればなれの暮らしを始めた娘夫婦。

それを見守るだけの母親の私。

それぞれへのエールなのだと思えました。

 

娘はようやく2週間の隔離が終わり、明日いよいよ上海の街に足を踏み入れます。



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