春の京都へ(5):そして奈良の吉野へ2014年04月26日

いつかは吉野の桜を見にいきたい。ずっとそう思っていました。

昨年亡くなった連城三紀彦氏の小説『花堕ちる』の中に、吉野山で心中するくだりがあり、妖しい桜の魅力を感じたのです。



ところが、いざ訪ねてみると、とうていここで死にたくはなりそうにない、明るく賑やかな場所でした。

それでも、平安時代から植え続けられている何万本もの桜は、じつに圧巻。かつて、修行者たちが桜材で仏像などを彫ったことから、桜の木が神聖化されるようになり、信仰の対象として、桜の植樹がなされるようになったとか。

理由はどうであれ、これだけの桜が1000年以上の長きにわたって、大事にされているなんて、やはり桜には特別な魔力が秘められているような気がします。

あの豊臣秀吉も、ここでお花見大会を催したそうで、同じ場所で21世紀の私たちが平和なお花見を楽しんでいるのですから、不思議といえば不思議。日本人がどんな花よりも桜を愛してやまないのも、ご先祖様からのDNAの仕業でしょうか。

まあ、よきかな、よきかな……。


関東の私たちにとってお花見といえばたいてい染井吉野ですが、この山では白山桜が多いのだそうです。その赤茶色の若葉が、遠目にはオレンジ色にかすんで、ピンクの濃淡の中にあって、山の綾なす色に温かみを添えています。

下千本から先始め、中千本、上千本、奥千本へと、開花が上っていきます。

吉野山にはお寺や神社も点在し、山の尾根に沿って参道が続いています。

参道は、参拝客というよりお花見の観光客でたいそうな賑わい。この時期だけの出店も多く、楽しませてくれました。









名物の「柿の葉すし」の店。

帰りに買って帰りましょう、と目星をつけておいたのに、帰りには長蛇の列で、諦めました。



下千本

中千本

中腹にある吉水神社の境内からの眺めは、「綺麗!」のひとこと。

ため息まで、ピンク色に染まりました。



コメント

_ SACHI ― 2014/04/27 15:26

HITOMI様  わ〜ッ!!とうとう吉野ですね。なんてきれい!!ひとみさんのため息まで聞こえそうです。「一目千本」とはよくぞいいましたね。確かに私達のDNAには桜を愛する心が埋め込まれている気がします。吉野には日本人の大好きな物がみんなありますね。桜、おいしいもの、寺社、そしてラブストーリーまで。義経、静御前の隠れ住んだ庵にいらっしゃいましたか?吉川英治が平家物語のなかで、「義経、静はさながら愛の小鳥であった」と書いていたような記憶があるのですが。気の毒な弁慶の、寝ずの番の小部屋もありました。

_ hitomi ― 2014/04/27 16:59

SACHIさん、
そんなロマンティックな庵があるのですね。知りませんでした。でも、また次回にお楽しみを取っておきましょう。教えてくださって、ありがとうございます。これから、少しずつ歴史の本をひも解いてみたいと思います。

_ 風蓮 ― 2014/05/05 14:05

コメント!初トライ!です、不慣れです、うまくいくかどうか・・・
吉野山桜 昨年見に行きました(当ブログ4.10記事)風雨で大変な見学でした。。。こちらの記事の写真拝見して、あぁ~やはりこんなに美しい風景だったんだ・・・って。う~ん、クヤシイ!(笑)
 再度行ってみたくなりました。  当方も長いこと書き続けてます。
長女宅の男の子の生育に問題があり、苦労してるところです。折々ブログ拝見させて頂いてます。

_ hitomi ― 2014/05/06 20:31

風蓮さん、初コメント、ありがとうございます!
天気のよろしくない吉野山は、大変だったでしょうね。ぜひ、またリベンジなさってみてください。
長男モトの記事を、関心を持ってお読みくださっているのでしょうか。どうもありがとうございます。
お孫さんは、まだ小さくていらっしゃるのですね。でしたらなおのこと、これからの成長を楽しみにして、お嬢さんを支えてあげてください。どんなに「フツウ」とは違う子どもでも、成長の仕方が普通と違うだけで、成長しない子どもはいないはずですもの。

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