旅のエッセイ:「古希の大冒険に旅立てば」後編 & パリ散歩のフォトアルバム ― 2025年09月04日
古希の大冒険に旅立てば 後編
羽田からパリへは無事に到着。しかし、空港からホテルまでの移動も、不安要素だ。去年のニースの空港では、夜遅く着いたのに、予約したハイヤーが現れなかった。友人と二人だったから、何とかなったけれど、今回は一人でタクシーに乗るつもりだ。
私が大きなスーツケースを引きながら、出口を通り抜ければ、さっそうと男性が現れて、どちらへ、と聞いてくる。アブナイ。一瞬身構えたけれど、「旅行案内」と書かれた赤いベストを着ている。本物だろう。タクシー乗り場へ行きたいと言うと、こちらへ、と案内してくれて、並んで待つようにと足跡マークを指さして、去っていった。
パリは去年のオリンピックのおかげで、なにかと整備が進んだようだ。今では空港からパリ中心部までのタクシー料金も一律に定められている。ホテルの名前と住所と金額を記した紙を用意しておき、運転手に渡した。東洋系の運転手はまったく無駄口をたたかずに、ごみごみとした市内を巧みに走っていった。

▲ドライバーは、襟巻をしている。暑くないのかな、と心配したが、そうではなかった。首にサポーターをしているのだ。追突されたのだろうか。だとすれば、無茶な運転はしないだろう……と、ちょっと安心する。
ホテルの入口はアーケードの中にあった。ビルはかなり古い造りで、ドアを開けると、小さなエレベーターをぐるりと取り巻くように階段が続いている。薄暗く、紫色のカーテン、あやしい壁画……。まるで、占いの館といった雰囲気だ。スーツケースがあるので、仕方なく2階のフロントまでエレベーターのボタンを押す。

▲ホテルは、パッサージュ・ジュフロワという名のアーケードを入っていき、右側に入口がある。

▲入り口を入ると、階段がぐるりとエレベーターを取り巻いている。フランスのビルには多い造りだ。
フロントには、不愛想なドレッドヘアのおにいさんがいた。ホテルマンには見えない。気軽に質問したら怒られそうだ。
狭い廊下で、スーツケースを転がすと、ずるずるとカーペットにしわが寄る。部屋も、従業員の部屋かと思うほどの安普請。カウンター下の冷蔵庫置き場は空っぽだった。さすがにフロントに問い合わせると、問題が多々あって撤去したという。無いほうがよほど問題だ。夜の外食は避けようと思っているのに、部屋でお水もワインも冷やせない。
これでもアメリカのホテルチェーンの名を冠した3つ星ホテルで、旅行会社にグレードアップしてもらったのだ。オペラ座から徒歩10分という地の利だけが唯一のメリットの、ハズレのホテルだった。
こんな時、一人じゃなかったら、さんざん愚痴をこぼし合って、運命を呪って、留飲を下げたことだろう。一人旅は、タクシー料金を一人で払うだけではなく、トラブルも悩みも怒りも、一人で背負って飲みこんで、一人で解決するしかない。
「古希の大冒険に行ってまいります」などと息巻いて、自分を鼓舞して、パリにやってきたのだ。カヨさんと合流するまであと3日、何とか楽しい一人旅にしよう。このホテルだって、トイレやシャワールームはきれいだし、目をつぶれば寝心地も悪くない。そう思いなおして眠りについた。
翌朝は、真っ青なパリの空が、私を見下ろしていた。
さあ、9年ぶりのパリの街に出かけよう!

▼ホテルからオペラ座まで歩いて10分。残念ながら、改装中なのかシートがかけられていた。巨大なBOSSのペッカムが、オペラ広場を見下ろしている。

マドレーヌ大通りをまっすぐ歩いてきて、本日最初の目的地に到着。オランピア劇場だ。藤井風くんが2週間後にやって来て、ここでライブを開催する。
昨年秋の上海公演の時も、私はたまたま上海赴任中の娘を訪ねて、先に来てしまった。しかたなく会場を外から下見して終わったのだった。その時も同じ2週間違いだった。そして今回も中には入れない。▼


▼パリはマクドナルドもおしゃれ。ピンクの夾竹桃の花の生垣に囲まれ、夜は2階の窓のイルミネーションがきれいなんだろう。けれど、一人で夜は出歩けないのが残念。


マカロンのラデュレ。▲
11年前、娘と店内に入り、白いお皿にいくつも並べて楽しんで食べた。
▼11年前、チュイルリー公園のこの池のほとりでは、ピエール・エルメのマカロンを買ってきて、娘と食べた。あの二人旅で、いったいいくつのマカロンを食べたことだろう。




調べてみると、次のロサンゼルス五輪まで、ここに設置されるとのことだった。
昨年のフランス旅では、オリンピックで混むだろうからと、パリを避けたのだった。


この後は、メトロに乗って、次の目的地へ向かった。
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