自閉症児の母として(42):「桜の風」でショートステイ2017年06月17日

 


長男は、今年3月に初めて障害者支援施設「桜の風」に泊まりました。自立に向けての第一歩を踏み出したのです。

その後は、順調に毎月1度、1泊2日のショートステイを続けています。

 

この宿泊のため、息子は職場で、有給休暇の利用申請書を事前に書いて提出しているそうです。

宿泊の前日には、自分から進んで持ち物の準備も始めます。

持ち物すべてに名前を書き、リストにすべて記入するのは私の仕事。

1泊2日のほとんどの時間、自分の個室でゲーム三昧なので、その量は半端ない。ゲーム機はニンテンドウ3DSだけにすると決めて、ゲームソフトはあれこれ数種類持っていきます。WiFiも持参します。

初回のとき、ゲームと攻略本は2種類だけにしようね、と言い聞かせ、前日には私が持ち物リストにその2つを書いてカバンに入れました。ところが、いざ施設に着いてカバンを開けてみたら、なんとゲーム6ケースと本が6冊も入っていたのでした。

でも、今回は本人の希望どおり、ゲームは5つ、本は2冊となりました。



 

施設到着は11時。車で連れて行きます。

担当の支援員の方と、持ち物のリストとカバンの中身を照らし合わせ、財布の中の金額を確認し、貴重品を預けます。そこまで私が付き添い、そこから先は、保護者退場。ひとりで過ごすのです。もちろん支援員に見守られながら。それが、彼にとっての訓練です。

 

まず、息子は、そこにあふれる音に過敏に反応します。音楽が流れていたり、他の利用者の声がしたりすると、とても気になる。耳をふさいで、自己防衛態勢に入ります。これも、彼にとっては必要な行為です。

 

食事は、食堂で一緒に食べるのだろうと思っていたのですが、希望すれば、自室で落ち着いて食べることができるそうで、今回もそれを希望していました。これまでは、自宅での食事同様、すべて完食!だそうで。

午後には、車に乗せてもらい、しばしのドライブのあと、どこかのお店で、おやつを買います。先月泊まったのは59日、ちょうどアイスクリームの日だったので、行事男の彼は、当然のようにアイスクリームを2つ食べて、ご満悦だったとか。

入浴は、時間になると声をかけてもらい、自分で入っているようです。

就寝、消灯、起床などの生活パターンは得意中の得意。そうやってルールを守ることで、自分を支えているのかもしれません。

翌日は、11時に迎えに行きました。家を出るのが遅れ、着いたのは5分過ぎ。

「遅れた理由は?」と、息子から質問されました。

「車が混んでいたので」と言うと、納得してくれます。ごめんね。

 

主治医のドクターが言われたとおり、自閉的な傾向がある人は、ルールさえ理解できれば、新しい環境でも何の問題もなく、それに従って生活できる強さがあるようです。

 

2ヵ月先まで、宿泊の日程が決まっているので、そのことにも安心できるのでしょう。この調子で、続けていけたらと思います。

次は、2泊に増やすことも考えていますが、焦らない焦らない。たっぷり時間をかけることが何より大切だということは、3歳のころから親の私が学んできたことです。



 

「桜の風」は桜の木々に埋め尽くされているような地域にあります。この時期、桜の青葉の下には、アジサイがたくさんの花を咲かせ始めていました。




ダイアリーエッセイ:UFOに遭遇!?2017年06月12日

 




何だかわかりますか。

ピーマンのお化けではありません。

そうです、UFOです。私の両手を組み合わせたよりも、少し大きいサイズの。

先週、いつものウォーキングの途中で、遭遇したのです。



 

これは彼らの秘密基地。道路沿いに、畑を背にしてたたずむコインロッカー式の野菜直売所です。


その名も、「UFOズッキーニ」。

野菜だったのです。そもそも、カボチャの仲間だそうで、白いのや黄色いのもありました。

 

その日の朝、NHKテレビの「あさイチ」で、パプリカの肉詰めを紹介していました。さっそくパプリカを買ってこようと思ったのに、スーパーのパプリカではなくて、畑のUFOズッキーニの肉詰めを作ることにしました。

ただし、ピーマンのように中が空洞ではないので、スプーンでくりぬいて、玉ねぎと一緒にみじん切りにして、ひき肉に混ぜます。

チーズを載せ、オーブンでじっくり焼くこと30分。

それはそれは、美味しかったです。




 

今日は、縞模様がいました。

100円玉を入れて、取りだそうとしたら、「痛い!!」

彼らの機体を食べてしまった私は、宇宙人に逆襲されたのでした。

2ミリほどの長さの、産毛のような細いとげがびっしりと生えていて、刺さるのです。

皆さんも畑で見かけても、気軽に手を出さないように、ご注意くださいね。宇宙のおきてです。







 

そういえば、以前、私のブログには料理の話がいっさい出てこない、というコメントを頂戴したことを思い出しました。

たまには、いいですね、気軽な料理の話を料理するのも。

写真とともに、味わってみてください。

 


ダイアリーエッセイ:オリエンタルリリーが咲いて2017年05月31日



母の日に、息子たちがプレゼントしてくれた鉢植えのオリエンタルリリー。10日ほどして、ようやく咲きそろってきた。

花は小ぶりだが、八重になっていて、思わず目を引く。ユリの中でも珍しい。



 

私は、子どものときから、体が小さかった。背丈はいつも、クラスで前から3番目以内。チビと言われるのが嫌で、背の高い人がうらやましかった。

そんな私を慰めるつもりか、母はよく、

「山椒は小粒でピリリと辛い」と言った。

だから何なの、と反発を抱くこともあった。私は山椒ではない。辛いことが人を褒める言葉とは思えなかった。

 

なぜ小さいことがコンプレックスだったかと言えば、小さいと年下に見られる。自分の年相応にふるまっても、生意気に見られてしまう。

中学の部活動で、私の話したことに対して、先輩の男子生徒から言われた言葉を、今でも忘れない。

「おまえは、こまっしゃくれてるな」

思わず、どういう意味ですか、と聞き返した。つまり、小生意気だということらしかった。同じことを背の高い生徒が言ったら、印象は違うのだろう。神さまは不公平。なぜ私はチビなの。そんな気持ちがあった。

それでも、コンプレックスをエネルギーに換えて、小さくても中身で勝負、人の良し悪しは背の高さとは関係なし、とチビを跳ね返すように、がんばっていた。

小生意気に見えたのは、なにも、すべて背が小さいせいではなかっただろう。子どもっぽい顔つきだったこともあるかもしれない。

チビだと言われて反発するのも、生来の性格や、4人きょうだいの中でもまれ育った環境なども一因だったかもしれない。

 

でも、やがてコンプレックスは薄らいでいった。ある大事なことに気づいたのだ。どうやら男の子たちは、小さい女の子が嫌いではないということ。

そして、オバサンと呼ばれるようになると、さらに大事なことに気づく。小さいと年下に見られる。……うれしいことではないか! ようやくチビが報われる時が来たのだ。

 

とはいえ、チビに生まれたことは、その後の私の人格形成に少なからず影響を与えているらしい。チビへの反発心や負けん気が、ピリリとした辛さになった。やはり私は山椒だったのである




 

小ぶりのユリは、花びらを重ねて、見る人を魅了する。

小柄な女性は、幻の若さをまとって、見る人の目をくらますのかも。

 




エッセイの書き方のコツ(31):「生まれる言葉、消える言葉」2017年05月15日

【お詫び】

最近、またスパムのコメントが多くなりました。

いずれも英文で、足のトラブルや靴の販売などに特化したサイトからのコメントです。

世界規模でサイバー攻撃が起きている昨今、それに比べたら実害はないのですが、やはり気持ちのいいものではありません。ときどき、コメントをシャットアウトしたり、また受け付けたりして、スパムを回避していますが、さほどの効果はないようです。

コメント欄が開かなくても、数日後には開けるようにしていますので、ご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。



 


このたび、NHK学園の川柳講座が発行する『川柳春秋』という季刊誌に、「巻頭随想」を書かせていただきました。

「生まれる言葉、消える言葉」と題して、体験したエピソードを交え、持論を展開してみました。



 

日本には日本語評論家が一億人いると言われています。皆さんも一家言おありかもしれません。

日本語評論家としての皆さんは、どうお考えですか。

 

エッセイを書くときにも、その流行語がふさわしいかどうか、読み手にどう受け取られるか、ちょっと考えてみましょう。

使うか使わないかは、書き手の自由です。センスが求められます。

そして、「文は人なり」と言うがごとく、その選択にも、年齢、性別、人柄など、書き手の姿が垣間見えてくるのではないでしょうか。






 



映画『美女と野獣』を観る2017年05月06日

 

毎日青い空が広がり、花々が咲き乱れ、気持ち良いお天気に恵まれたゴールデンウィークですね。どのようにお過ごしでしょうか。

わが家は息子たちが連日在宅。その父親はほぼ連日出勤。私は洗濯おばさん兼おさんどんおばさんとして明け暮れています。

とは言いながらも、意外と面白いことにも出会って、ウフフ……と悦に入っています。

まずは今日のことから。

 

 

いつの間にかわが家には、大型連休には息子を連れて映画を観に行く、という習慣ができました。今回の映画はディズニーの『美女と野獣』。



1991年にアニメ映画として制作されましたが、新作はミュージカル仕立ての実写版です。

ヒロインはエマ・ワトソン。あの『ハリー・ポッター』でちょっと生意気そうなハーマイオニー役を務めた女の子です。すっかり「美女」になりましたね。

 

ディズニーの映画は、大人が観ても楽しめます。実写の歌や踊りも、CGをふんだんに用いた魔法の世界も、魅力にあふれています。

魔法で野獣にされてしまった王子と、心優しいヒロインとの純粋な愛は、素直に感動できました。

「人を外見だけで判断してはいけない」

「他人から変わり者と言われても自分の夢をあきらめない」

などのメッセージは、観ている子どもたちの心に染み込んでいくことでしょう。もちろん大人の私も、「変わり者」の息子たちを持つ親として、勇気づけられた気がします。

 

最後に、二人の愛の力で、魔女の呪いが解けて、野獣は美しい王子に戻ります。

なんとそのキャストは、世界的大ヒットドラマ『ダウントン・アビー』のなかでは長女の夫で、幸せの絶頂期に自動車事故で即死したマシュー役を演じたイケメン俳優、ダン・スティーブンスでした♡

あの野獣の姿で演技をするのは、さぞや肉体労働だったのではないでしょうか。なんでも20キロの筋肉スーツを着て、竹馬に乗っての熱演だったそうです。

 

そういえば、2年前の5月5日にも、ディズニー映画の『シンデレラ』を息子と観ました。そのときのブログには、子どもの頃、夢中になったディズニーのテレビ番組のことを回想しています。よかったらお読みください。


ダイアリーエッセイ:映画「シンデレラ」

まだご覧になっていない方、おススメの映画です。

お子さまたちと一緒にいかがですか。





ダイアリーエッセイ:再会2017年05月01日


去年の夏のこと、多摩川の花火大会を近所の高台で見物しようと、住宅街を歩いていたら、自宅から5分の所に新しいお店を見つけた。

Café Lotus。夜だから明るい照明の店内がよく見える。カウンターの中で働くエプロン姿の男性に、見覚えがあった。いつか訪ねてみよう、と思った。

 

それから半年が過ぎた。

最近、ウォーキングを始めて、この店の前をよく通るようになった。通りすがりに見る彼は、いつもかいがいしく働いている。ほぼ間違いない。今度長男と二人で食べに来よう。

 

ゴールデンウィークの2日目。夫は連休というと出勤が多く、今日も長男とふたりで留守番だ。お昼にあの店に行ってみることにした。

真っ青な空の下、日差しが惜しげもなく降り注ぐ。新緑が風に揺れ、家々の生垣には花々が咲き誇っている。

 


そして、カフェ・ロータス。緑色の屋根がさわやかだ。




店内は天井のない造りで、テラスにもテーブルがあり、広々とした空間だ。カウンターの向こうに彼がいた。




メニューを持ってきてくれた時に、思い切って聞いてみた。

「失礼ですけど、新作小学校の卒業生ですよね……?」

すかさず答えが返る。

「そうです。石渡さんですよね」

まあ、よく覚えていてくださって!

私は彼の名が思い出せなかったのだが、岡本です、と名乗ってくれた。

岡本君は、長男の小学校の同級生だったのである。同じクラスには一度もならなかった、と彼は言うのだが、それでも学年2クラスしかなかったから、ほぼ同級生のようなものだろう。

自閉症の息子は、入学のときに特殊学級(現在は特別支援学級と呼ぶ)に入るよう勧められた。それでも、ぜひ1年でも2年でも健常児のなかで過ごさせたいという親の思いから、普通学級に受け入れてもらった。学年の誰もが知る「変わった子、特別扱いの子」だったのである。

 

私が彼のことをよく覚えているのは、忘れられない小さな思い出があるからだ。

まだ、低学年の頃だった。私は、息子の送り迎えをしたり、保護者会の係をしたりと、何かと学校に出向くことが多かった。息子が学校で問題を起こしていないだろうかと、いつも心配な日々だった。

そんなある時、彼が私のそばに来て言った。

「あの、おばさん、モト君お大事に……」

息子の障害を、病気と同じように解釈していたのだろう。

思いがけない彼の言葉が、胸に沁みた。子どもはなんと純粋でやさしい心を持っているのだろう、そう思った。ふっと緊張がほぐれた。

岡本君、あの時は本当にありがとう。おばさんはとてもうれしかったです。

 

息子は就学猶予で1年遅れて入学した。だから、1つ年下の岡本君は、今年30歳になるはずだ。この土地に店を構えて2年が過ぎたという。若くても、りっぱなマスターである。

今でも、笑うと白い歯がきれいで、あの頃と同じやさしい笑顔だった。



小学校卒業から18年ぶりの再会だった。

地元に根を下ろして生きる若者を、これからも応援していきたい。

また、家族や友達をたくさん連れて来るからね。




映画『ムーンライト』を観る2017年04月18日


先月、新聞の8ページ全面を使ったすごい広告がありました。(写真はそのうちの4ページ)。

今月になって、その映画を観てきました。アカデミー賞の作品賞に輝いた『ムーンライト』です。アカデミー賞の白人偏重問題に対する「忖度」だとか、移民を排除しようとする現政権に対する抗議だとか、何かと話題の映画賞だったようですが。

 

これは、黒人の主人公シャロンのゲイの物語です。いじめられてばかりの子ども時代から、大人になった現在まで、3章に分かれており、役者も替わっていきます。

章が替わっても、ほとんど解説はありません。でも、寡黙にして饒舌。見ていると腑に落ちてくるのです。

全体を通して、ひたすら暗い。でも、時のたつのを忘れるほど、引き込まれます。

その映像は前評判どおりに美しい。浜辺、水の中、月夜……。青く冷たいけれど、どこか温もりが感じられます。

なんとも形容しがたい映画です。

 

映画を観たのは、桜が満開になってきた頃。桜の枝を見上げながらも、映像がふっと脳裏をよぎるのでした。

桜が散ってしまった今もなお、不思議な感動がひたひたとよみがえります。

そして、いくつかの忘れられない言葉も――

 

「自分の道は自分で決めろよ。周りに決めさせるな」

シャロンを不憫に思い、何かと目をかけてやる屈強な男フアンのセリフです。しかし、彼は麻薬密売人であり、シャロンの母親にも麻薬を売っている。

シャロンをかわいがるのは、その罪の意識、それとも自責の念でしょうか……? いえ、そんな単純なものではないかもしれません。

 

フアンがシャロンに泳ぎを教えるシーンでは、海に彼の体を浮かせながら、こう言うのです。

「感じるか? 地球の真ん中にいる」

 

フアンは、母子家庭のシャロンにとって父親代わりだったのかもしれません。

シャロンもまた、長じては屈強な肉体に自らを鍛え上げていました。そして、フアンと同じ生業に手を染めていったのです。

 

彼の人生は、哀しくもある。

一方で、肌の色や性別や生まれた環境がどうであっても、人間の真実……つまり、生きる意味や、人を愛する衝動は、それらを超越して、純粋で崇高なものといえるのではないか。

私は未消化ながらも、言葉にすればそんなことを感じました。 

 




新しい春が来た!2017年04月09日



かつての私にも、春にはたくさんの人生の節目があった。卒業や入学、転勤など、自分自身のことばかりではなく、結婚後は夫や子どものことで、春はいつも忙しかった。

それがなくなってきたのはいつごろからだろう。気がつくと、年度末の忙しさも、別れの切なさも、4月の新しさも、感じることが少なくなっていた。

 

今年の春は、変化の春にしよう。新しくしよう。願いを込めてそう思った。

 

1週間ほど前、胃カメラの検査を受けた。あまりに胃の不調が続き、いよいよ心配になってきたのである。

胃カメラは初めてではない。大人になり、いらいら、くよくよすることの多い私が、ストレスを胃で受け止めるようになってからは、何回もお世話になっている。

しかし、今回の医師は、鼻から挿入することを勧めた。これは初体験。痛いのでは……と怖気づいた。

 

言うまでもないのだが、胃はストレスでダメージを受けやすい。

1年前の母の入院、手術、その後の介護……。毎日、毎日、毎日、そばに住む私には大きなストレスとなってのしかかってきた。

親の介護は、物理的、時間的な負担だけではなく、精神的な負担があまりにも大きい。実の娘だからこそ、遠慮なく言いたいことを言う母。母のわがままを聞き入れてあげないのは、冷たい娘だからだろうか。残り少ない時間を、なぜ安らかに過ごさせてあげられないのか。ことあるごとに、自分を責めてしまう。

でも、私にも家族があり、仕事があり、自分の人生がある。

そのせめぎ合いに苦しむのだ。かくして、胃の痛む日が増えていく。

 

内視鏡には、胃の表層に櫛でひっかいたような赤い筋が何本も写っていた。

「気苦労が多いもので……」と言うと、

「まさにその痕ですね」と医師。

しかし、重篤な病気ではなさそうで、いくぶんほっとした。

胃痛が完全に消えたわけではないが、気にしないで大丈夫だ、と医師は薬を処方するでもなく、つれなかった。

 

介護がいつまで続くのか、見通しを立てることはできない。それはタブーだ。

ならば、他のストレスを少しでも軽くするほかはないだろう。

 

そこで、思い切って仕事の断捨離をした。

一時期は5つも抱えていたエッセイ教室を3つに減らす。そして、NHK学園の通信エッセイ講座の専任講師も、職を離れることにした。

これで、仕事は半分になったといえる。

 

自由な時間が増えた。少なくとも、月に7日はフリーになる。

さて、何をしようか。新しく何かを始めようか。

まずは、のんびり、ゆったり、考えることからだ。自分のための時間の使い道に、楽な気持ちで思いを巡らす。

胃に優しく、そしてなんと贅沢なひとときだろうか。

  

  

 


自閉症児の母として(41):セサミストリートの放映を!2017年03月24日




セサミストリート。

残念ながら、日本では放映されなくなってしまいましたが、子どもたちの小さい時は、よくテレビを見ていました。

自閉症の長男は、とてもお気に入りでした。毎月テキストを買っていましたし、小学校に上がってからも、しばらくの間は、土曜の朝の放送を見終わってから登校することを大目に見てもらっていました。

給食袋などや手提げバッグなど、キャラクターの生地でたくさん作ったものです。

 

今度、セサミストリートに、自閉症児のキャラクター、ジュリアという女の子が登場するそうですね。おうむ返しにしゃべったり、音に敏感に反応したりするらしい。

そして、ジュリアのマペットを操る女性は、自分も自閉症の男の子の母親だとか。きっと、きめ細やかなパフォーマンスを見せてくれることでしょう。

 

ところで、以前にも書きましたが、毎月息子の精神安定剤を処方してもらうため、精神科のドクターのクリニックに出向いています。息子は連れて行かずに、私が彼の状況を話し、相談に乗ってもらうのです。

今日もドクターを訪ねました。深刻ぶることなく、いつも穏やかで明るい先生とお話をしていると、それだけで息子の問題が軽くなる気がして、私が癒されるようなひとときです。

「余談ですけど」と、先生が言いました。ジュリアの話題でした。

「女の子というところがいいですね。女の子の自閉症は、見過ごされることがあるんですよ」

ジェンダーの問題でもあるのですが、いかにも女の子らしく刺繍や編み物などに熱中していると、こだわりの強い自閉傾向が気づかれにくい。また、女の子の割合は低いので、疑われることも少なく、発見が遅れるのだそうです。

そういえば、これまで自閉症を主人公にしたドラマや映画は、どれも男性でした。もう少し、女の子の自閉症にも目を向けてもらう意味で、ジュリアが救世主になるかもしれませんね。

 

番組を見る子どもたちが、楽しみながら自閉症を理解して、自分の周りに同じような子どもがいても、戸惑うことなく仲良くできたら、すばらしいと思います。

そして、ぜひ日本でも番組が復活してほしいですね!



 

 


 


自閉症児の母として(40):「桜の風」で宿泊体験2017年03月21日




昨年9月15日に、障害者支援施設「桜の風」を見学した記事を書きました。

あれから、その施設利用の登録手続きを済ませ、申し込みをして、体験入所の日取りを待ち続けて、ようやく実現の運びとなりました。

半年もかかったのです。まだまだ、施設の数が少ないのでしょう。

 

自立の第一歩として、たった一人で宿泊体験……とはいっても、支援員の方が何かあれば対応してくれます。

これまで息子は、家族と旅行に出かけても、それほど問題はありませんでした。養護学校の修学旅行にも行きましたし、入院中には付き添いもなく一人で夜を過ごしたこともあります。

場所が変わっても、ルールに従い、きちんと決められたスケジュールどおりに過ごすことができるだろうと思い、あまり心配はしていませんでした。



 

319日の午前11時に、車で送っていきました。

ボストンバッグには、着替えのほか、自由に過ごすためのゲーム機やゲームソフト、そのためのWifiなどが、ずっしりと入っています。たいくつすることもなさそうです。

個室は、畳に布団。1100円でレンタルできるテレビもあります。

息子は音楽やさまざまな音に過敏なため、大きな音量でテレビを見る利用者の方とは離れた部屋にしてくれました。

担当の支援員の方と荷物のチェックをすませると、早々に親は帰されました。

 

息子を託すのは、24時間。翌20日午前11時には迎えに行きました。

支援員のお話では、何の問題もなく、食事の時だけは食堂でみんなと会食ですが、ほとんどの時間は個室にこもりきりで、ゲーム三昧だったようです。

午後には、他の利用者と一緒に、車に乗せてもらって外出し、コンビニでおやつを買い求め、施設に戻ってから、それを食べたそうです。

何を買ったの、と聞くと、「ジャガリコとコカコーラでした」との答え。

消灯時間の930分になると、自分からきちんと電気を消して眠りについたとか。時間厳守は相変わらずですが、自宅では12時を過ぎても起きているのは、どうしたことでしょう。

朝は、やはり起床時間の8時きっかりに起きてきたとのことでした。

 

やはり、期待どおりでした。最初の体験は難なくクリアしたようです。

この調子で、もう少し体験を積んだら、次のステップへと進んでいこうと思います。


この施設の周りには、本当に桜の木がいっぱい。

桜の花には一週間早かったことだけが惜しまれましたが、それはまたの機会に……。


 



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