ダイアリーエッセイ:夢、かなって2014年02月05日

大学1年になる次男が、お札をひらひらさせて、部屋に入ってきた。
「これ、母さんにあげる」
1
万円札だ。
「えっ、どうして?」
「オレのマンガが売れたから」
「どこで」
「イベントで」
「何の」
「マンガの」
なにしろ彼の応答は省エネモードで、1を聞いたら1の答えしか返ってこない。
根気よく質問していくと、ようやく事の次第がのみこめてきた。

彼は高校生のころから、勉強はそっちのけで、パソコンでマンガを描いていた。
大学生になると、マンガのサークルに入会。先輩に教わって、冊子を作り、素人の集まるコミケとかいうイベントで販売。すると、予想以上に売れた。うれしくなって売り上げを母親にあげよう、と思い立った……ということらしい。
これまでの感謝の気持ちか、罪滅ぼしか、そのあたりは定かではないのだが、自分の描いたマンガを売って大金を稼ぐことができた喜びは、大きかったに違いない。
それを、真っ先に私のところに持ってきてくれたのだ。
この末っ子の次男坊は、11人のいとこたちのなかでも、近所の友達のなかでも、いつも最年少。小さいころからみんなに面倒を見てもらって、かわいがられて、甘やかされて育ってきた。だからこそ、人一倍やさしくて、ここぞというときに母親を喜ばせるコツもわきまえているらしい。

でも、待てよ。正しい母親なら、「大事にとっておきなさい」と言って受け取らないものだろうか。いやいや、喜んで受け取るべきか。一瞬、躊躇した。
でも、一瞬だった。私は、正しい母親なんかじゃない。自分の気持ちには逆らわない。息子の快挙もうれしい。1万円もうれしい。息子と一緒に喜んでいたい。
すぐに、「ありがとう!!」と、満面の笑みで受け取った。

私がうれしかったのには、わけがあった。
私も子どものころ、マンガ家になりたかったのだ。
見よう見まねで少女マンガを描いてはいたが、だれに見せるわけでもなく、中学生のころには才能のなさに気づいて、あきらめた。
だから、かなえられなかった自分の夢を、息子がかなえてくれたような気がしたのである。

あとから聞いた話では、純益があったのではなく、出店費用も高いので赤字だったらしい。
じゃ、次回の費用にとっておく?と返したくなっても、返してと言われてもつまらないので、お互いの気が変わらないうちに、形に変えてしまうことにした。
ちょうど、コットンパールのネックレスがほしいと思っていたので、手ごろなのを見つけて買った。記念の品として。

「ほら、見て。あなたにもらったおこづかいで、買っちゃった」
「ふーん」とあまり興味もなさそうな、もう忘れてしまったみたいな息子の顔。
でも、私は一生忘れないからね。
夢をかなえた次男坊が、初めて母さんにおこづかいをくれた日のことを。

次男坊がくれたおこづかいで買った、コットンパールのネックレス。




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ダイアリーエッセイ:大雪だ!!2014年02月09日


大雪警報が出た。
降り始めて半日たったころ、じっとしていられず、駐車場の愛車を見にいった。
前回の大雪のときは、フロントグラスに凍りついた雪を解かすのが大変だったから、まずワイパーを立てて、今積もっている分だけでも落としておこうと思った。
すでに、雪の厚さ10センチ。


夜の間、吹雪く音が聞こえていた。
翌朝は雪も止んで、薄日が差してきた。
やはり、じっとしていられず、手袋をしてスノーブーツを履き、子ども用のそりとスコップを持ち出す。長男モトと二人で玄関を出た。


マンションの歩道はすでに雪かきが済んでいた。
日陰の駐車場では住人の方が数名、まだ雪かき中。駐車スペースから道路まではわずかなスロープになっていて、ここの積雪がくせものなのだ。
親しいOさんのご主人に声をかけて、さっそく雪をすくっては横にどけていく。
モトも上手に手伝ってくれる。
積雪は20センチを優に超えている。



Oさん一家とは家族ぐるみのお付き合い。みんなで旅行をしたこともある。
「子どもたちがよく、このスロープでソリ遊びをしましたよね」
「かまくらだって作りましたよね」
どちらからともなく、そんな話題になる。
もうここで雪遊びをする子どもはいないの? ちょっとさびしい。
スコップを動かしながら、本当は雪だるまを作りたかった。

そうそう、子どもたちが小さいころ、私が一人で雪だるまを作ったこともあったっけ。
子どもたちのためというより、自分が楽しんでいた。
そこへ通りがかったKさんの奥さんに、
「ご精が出ますね。雪国のお生まれですか」と聞かれた。
「いえいえ、そうじゃないから、楽しくて作っているんです!」
Kさん、なるほどという顔でほほ笑んだ。


そんなことを思い出していると、今度はそのKさんのご主人が登場。
彼は、私より1つ年上だが、スキーの達人で、今でも車にスキーを積んでは、滑りに出かけるようなスポーツマン。雪のことなら彼にお伺いを立てるのが一番だ。
結局、大量の雪の置き場所もないので、雪はKさんのスタッドレスタイヤの車で踏み固めることになった。
その後、なるべく解けやすいように、何か所か地肌が見えるくらいの穴を空けておく。

やがて、お疲れさまの声をかけ合って、みな姿を消してしまった。
私は去りがたく、モトと二人で、愛車の雪を下ろし、周りの雪をどけた。

ときどき、ドドーンと大きな音がする。5階建ての屋根から、雪の庇が落下するのだ。下にいたら、けがをするかもしれない。改めて、雪国の暮らしの厳しさを思う。



それでも私は雪が好き。寒いけれど、冬が好き。
それは、私が冬至に生まれたからなのだ、と勝手に決めている。


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本日のエッセイサロンin銀座2014年02月13日

今朝の銀座

今日は、先日もお知らせしましたように、しばらくお休み前の最後のサロンでした。
なんと、先日の雪のため、ご本人やご家族が転んで骨折してしまって欠席という方がお二人も……。どうぞ、お大事になさってくださいね。


5
名のこぢんまりとしたクラスになりましたが、提出いただいたエッセイが3編。じっくりと味わい、語り合うことができました。
さらに、次のような観点から、講師改訂版を作り、持参しました。

・セリフはなるべく改行して、目立つようにする
・同じ言い回しは避ける
1行あけは、多すぎないように
・字数内に収める工夫を

改訂前と改訂後とを読み比べることで、その違いがよくおわかりいただけたのではないでしょうか。


さて、4月から別のエッセイの仕事に就くことになりました。その仕事については、いずれお知らせできるかもしれませんが、エッセイサロンin銀座は、とりあえず1年のお休みをいただきます。
再開の予定が立ちましたら、またお知らせいたしますので、ぜひご参加ください。

銀座三越のデンマーク・ザ・ロイヤルカフェ

明日も大雪の予報です。
くれぐれも足元にはご用心を!


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コミュニケーション・プレイス2014年02月14日



エッセイサロンin銀座は、NaomiPlaceが主宰するコミュニケーション・プレイスのなかの1講座として行われています。
昨日のエッセイサロンについても、コーディネーターのNaomiさんが、オフィシャルブログで紹介してくれました。こちらもどうぞお読みくださいね。
そして、エッセイ以外のほかのページも覗いてあげてください。
コミュニケーション・プレイスには、エッセイばかりではなく、おしゃれなアートからアンチエイジングまで、魅力的な講座がたくさんあります。
興味のある講座がありましたら、ぜひ一度、参加なさってみませんか。
大人の女性が集い、お仲間同士のつながりも広がります。

いろいろな講座の作品たち。




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ダイアリーエッセイ:不憫チョコ2014年02月14日



わが家の長男モトは、自閉症という障害特性からか、とても時間や予定に執着する。だから、「カレンダー男」という異名をとる。いつも、今日は何の日か、何を食べる日か、どんなイベントがあるのか、と気にかけている。

2
14日といえば、バレンタインデー。
1週間前から、「214日はバレンタインデーだ!」と言われてしまうと、ほおってはおけない。母親とは底なしの愛情を注ぐもの。彼にチョコをあげる女性がいないから、というより、カレンダー男のこだわりにこたえてあげようか、という気分になって20数年。彼の〈事前予告〉を聞くと、チョコレートを用意する。

今年もわが家の男性たちのために……


ところが、このカレンダー男のカレンダーには、なぜか「ホワイトデー」という日がないのである。
今まで、314日は私が気をつかって、お世話になっている職場の方がたにお菓子を用意して持たせたりしてきた。
これだけ商業ベースで騒がれている二つの14日なのに、モトのこだわりがバレンタインだけというのは、どういうこと?
お返しをするなんてめんどくさいことは、彼の辞書には無いのかな?

今年は言ってみた。
「ちゃんと314日にお返しちょうだいね」
おりしも、今日は朝から白い雪が降りしきっている。
モトいわく、「今日は、ホワイト・バレンタインデーだよ」。
う~ん、うまく逃げられた……のかも。




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ダイアリーエッセイ:雪アートは、これ!2014年02月16日

朝起きるなり、ジャンプの葛西選手の結果をチェック……。
銀メダルだ! おめでとう!


年を顧みずにがんばっている彼に、私も共感して応援してきた。
41
歳。冬季五輪では最年長のメダリストとなったという。
テレビの前で拍手!!


モトと夫を助手に雪かき。お疲れさん!

さて、昨日もせっせと、マンションの駐車場の雪かきに励んだ。オバサンも負けてはいられない。
今日は、駐車場の隅に積みあげた雪の山で雪だるまアートを作ろう、と思った。ちまたでは、スヌーピーが犬小屋に寝ている雪像や、トトロの雪だるまが流行っているらしい。私はフナッシーに挑戦!とひそかに意気込んで、お昼過ぎに出ていったのだが……。
残念、その雪山にはすでにかまくらが掘ってあり、子どもたちが遊んでいた。

雪だるまはあきらめて、スロープの雪かきをした。愛車はノーマルタイヤなので、坂が凍りついたら怖いのである。
雪は少しだけかき分けてあったが、さらに整えて、車の通り道を作った。
途中から男性がひとり手伝いに来た。それまではほとんど私ひとりでやった。
終わってみたら、これもまた雪アートではないか。

マンションのスロープの雪をかいたら……

        題して、「ラージヒル」。


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ソチ五輪と湘南エッセイサロン2014年02月21日


夜中にソチオリンピックの生中継を見ることができない私は、毎朝起きてから一喜一憂。
今朝は、フィギュアスケート女子フリーで、浅田真央選手のフィニッシュと同時にあふれ出た涙に、もらい泣きをしました。
よく、ショートプログラムの大失敗から気持ちを切り替えてがんばりましたね!

同じく鈴木明子選手は、今シーズンが最後と決めて出場。
演技後のインタビューで、
「この年まで続けられるとは思ってもいませんでした」と述べました。
彼女は、28歳です。

一方で、スキージャンプの葛西紀明選手は41歳。それでも、4年後を目指してまだがんばる、と言っています。想像を超える努力をしていることでしょう。

スポーツは、もちろん精神面抜きには語れませんが、肉体は容赦なく年齢を重ねていきます。生きるもののさだめです。
だからこそ、4年に一度のオリンピックは、選手の人生が、生命がかかった瞬間が輝いて、感動を呼ぶのですね。



さて、昨日は湘南エッセイサロンでした。
天気予報の雪マークが消え、ほっとしたところで8名の湘南マダムが集合。
戦前の兵隊さんから、サザンオールスターズの話にいたるまで、いつものようにバラエティに富んだ作品が勢ぞろい。
さらに話題も広がって、用意されたランチをいただきながら、楽しいおしゃべりが続きました。

帰宅すると、メンバーのおひとりからメールがありました。
「できるだけ毎月、会を重ねて、五年、十年と続けていきたいものです。
年齢やその他の事情で他のレッスンができなくなっても、この湘南エッセイサロンを続けていけたら、どんなにすばらしいことでしょう」

なんといってもエッセイの楽しみは、年齢を問わずに、いくつになっても続けていくことができること。
円熟の人生にふさわしい作品を、書き残していきたいものですね。


鵠沼海岸


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