南フランスの旅のフォトエッセイ:⑦プロヴァンスのパリオリンピック2024年08月07日

 

そもそも、南フランスに出かけるのを6月にしたのは、ふたつの理由がありました。

 

日本ではなんといっても6月は梅雨の時期。あまりいいイメージはなく、旅行にも不向きですが、ヨーロッパは反対に、晴れてさわやかな日が多く、年間でも一番いい季節。たくさんの花がいっせいに咲いてきれいだそうです。

ジューンブライド(6月の花嫁)は幸せになれるという伝説が今でも支持されているのは、神話の女神の言い伝えだけではなく、この良いお天気が続いて挙式にふさわしいからなのでしょう。

そんな6月にヨーロッパを訪れたことがないので、一度6月に行ってみたいと思っていました。

プロヴァンスといえば、あの紫色のラベンダーも6月に満開になるそうです。美しい一面のラベンダー畑を見るのも楽しみでした。

 

もうひとつの理由は、パリオリンピック。7月下旬には開催予定です。

開催前から混雑もするでしょうし、航空券やホテルの価格も上がることでしょう。

今回は、パリはスルー。目指すはプロヴァンス。

 


意外にも、プロヴァンスでオリンピックのポスターなどにはほとんどお目にかかりませんでした。唯一、遭遇して写真を撮ったのがこれ。ニースの裁判所のフェンスに掛けられていました。

この地の人たちは、遠く離れたパリの祭典に関心が薄いのでしょうか。

 

ところで、話は先に飛びますが、ニースに滞在した後は、西に向かい、アヴィニョンへ。そこからバスで1時間ほどのリル・シュル・ラソルグという小さな町を訪れ、その地で素敵なシャンブルドット(民宿)に泊まります。それを営むのが、以前ご紹介した町田陽子さんとダヴィッド・ミシャールさん夫妻です。


▼ダヴィッドさん


ダヴィッドさんには、まる1日かけて車でのチャーターツアーをお願いしました。彼は東京で10年間もプロヴァンス料理店のシェフとして活躍してきたので、日本語はペラペラ。ハンドルを握りながらたくさんお話してくれました。

帰り道、もうすぐ町に帰り着くころに、彼が言いました。

「来週の日曜に、この通りを聖火が走るんですよ」

「え! そうなんですか。だったら、1週間遅く来ればよかった……」

と、私が残念がると、彼はすかさず答えます。

「ダメダメ。車は通れなくなるし、混雑するし、今日でよかったですよ」

まあ、そうでしょうけど、聖火は特別の炎。せっかく今年フランスに来たのだから、聖火を見たかったな……とオリンピックを避けて南仏に来たはずなのに、私はちょっと欲張りすぎの未練を抱いたのでした。

もっとも、ダヴィッドさんの言うこともわかります。パリのお祭りはパリの人たちに任せておけばいい。プロヴァンスはプロヴァンス。いつもどおりの週末を楽しめばいい……。それが南仏の人たちの大方の考えなのかもしれないなぁと、つくづく思ったのでした。

 

▲乗り継ぎのシャルル・ドゴール空港にあったパネル写真です。     


     (⑧に続く) 


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