旅のフォトエッセイParis2016(2)ノートルダム大聖堂にて2016年04月04日

 




「どうせ、すぐには帰国できないだろうし、帰ってくるまで知らせないでおこう」

それはパリ旅行中の私のために、家族が出した思いやりのある結論でした。

私がパリに立った2日目。マンションの4軒隣で独り暮らしをしている93歳の母が、体調を崩したのです。かかりつけの医師に診てもらったところ、ひどい貧血で、即入院。検査の結果、胃がんが見つかったのでした。

 

帰国した羽田空港では、荷物も一つ置き忘れられたことがわかり、風邪も引いたようで、くたびれ果てて帰宅すると、家族の様子がなんだかおかしい。初めて母のことを知らされました。

翌日には、私がインフレンザになって万事休す。母は病室から電話をかけてきて、私の体を心配してくれました。どちらが重病人かわかりません。

 

幸い母は、転移もなく、痛みもなく、年齢のわりには心臓も肺も元気で、手術が可能とのこと。胃の3分の2を切り取ることになるでしょう。進行性のがんだから、何もしなければ数か月……。

なんだか私には事の重大さがピンときません。

 

4月は年に一度のエッセイコンテストの審査もあって、一番忙しい時期。それでも仕事に出かけない日はすべて母の病院に通います。自分の時間はなくなりました。ブログもますます書けなくなってしまいますが、時間を見つけて何とか続けたいと思っています。何か月かかっても、パリ旅行をアップしていきたい。



 

写真は、パリのノートルダム大聖堂の中。母の健康と長寿のためにキャンドルを灯して祈りを捧げてきました。ノートルダムはフランス語で「われらの貴婦人」つまり、聖母マリアのこと。母の守護聖人でもあります。母を守ってくれると信じています。

 

皆さまも、どうぞ母のためにお祈りください。







ダイアリーエッセイ:母の手術が終わって2016年04月18日

 



ご心配をおかけしました。

10時間に及ぶ手術を、93歳の母はがんばり抜きました。そして、胃の3分の2を切除しました。

あまりに時間がかかるので一時は気をもみましたが、意識も戻り、今夜はICUで、管に繋がれたまま眠ります。

 

長い長い一日でした。

私は姉と二人、病室で待機しながら、テレビで九州の地震の映像を見続けていました。

そういえば、21年前の1月、次男のお産のときもこの同じ病院に入院し、翌日起きた阪神淡路大震災の映像を毎日見ていたものです。

 

次男は成長して、神戸の街も見事に復興しました。

母もこれから、少しずつでも回復していくことを信じています。

九州の被災された方々も、大地震の恐怖のなか、守り抜いた命を大切にして、復興に立ち向かってほしいと思いました。

 

写真は、パリのオルセー美術館の大時計。内側から撮りました。

はるか向こうに、モンマルトルの丘が見えています。

 

皆さま、まだまだ母の快復には時間がかかることでしょう。

どうぞこれからもお祈りいただけたら幸いです。



 

 



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