自閉症児の母として(37):保育士や教諭を目指す学生さんに向けて2016年11月22日




昨日は、千葉県松戸市の聖徳大学に出向きました。

「障害児教育」の講義の中で、テキストの一つとして私の著書『歌おうか、モト君。』を読んでもらい、障がい児の母として、お話をさせてもらいます。

年に1度か2度、ここに来るようになって、もう10年近くなります。


今回も、5時限目の時間帯、3クラス合同の100名ほどの女子学生さんが、新館の階段教室で、教壇に立ってマイクに向かう私を見下ろしていました。

学生さんたちは、初めは長男と同じ年頃だったのに、だんだんと若い「女の子」になってきて、同じ話をしても、以前はもっと受けたはず……と思うことも増えました。年齢だけでなく、若い世代の状況も変化しているのかもしれません。

 

それでも、現在の長男の仕事ぶりを、写真を使って説明し、

「時給いくらでしょう?」

という質問をすると、700円かな、800円かな……と興味しんしん。

「正解は、438円です」と言うと、安過ぎ!とびっくり。

 

そして、10年前と変わらない、彼女たちに共通する思いの一つに、

「もし、生まれてきた自分の子どもが障害を持っていたら、どうしよう。落ち込んでしまうかも……」という心配があります。

「ぜったい大丈夫。母親になれば、この子は自分が何とかしなくちゃ、という気持ちが自然と湧いてきて、がんばれるものですよ」

先輩母としての私の言葉に、ちょっぴり安心した表情を見せてくれて、私もほっとするのです。私だって、どれだけ涙を流したか知れません。それでも、前を見て立ち上がれる強さが、母親には備わっているのだと信じています。

 

私の書いた本と、この日の私の体験談が、いつの日か、彼女たちの仕事や子育てのなかで、ほんのひとかけらの支えにでもなれば、と願いを新たにして、小雨の夜道を帰ってきました。

 


 






コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/2016/11/22/8258615/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。

copyright © 2011-2021 hitomi kawasaki