800字のエッセイ:「モヤモヤするバアバたち」 ― 2023年11月05日
モヤモヤするバアバたち
私の友人たちの多くは、子ども世代の子育てを手伝う日々を送っている。
たまに集まると、孫話で盛り上がる。
ある時、M子がこんな話をした。
娘が幼い孫たちに昼食を用意する時に居合わせた。
「お昼、何が食べたい」と娘。
「ラーメン!」と孫たち。
「わかった」と言って娘は、スーパーに食材を買いに行き、そして作り始めたという。
「娘は、子どもの自主性が育つから、と言うんだけどねぇ」とM子は首をかしげる。「私たちの子育て中は、子どもに聞いたりしないで、冷蔵庫にある材料で、栄養も考えて作って、はい食べなさい、と与えたよね」。
すると、今度はA子が話し始める。
嫁が2歳の孫娘を連れて泊まった時、パンをたくさん買ってきた。
嫁は孫に、「これ好きでしょ?」とパンをちぎって与える。「これもおいしそうだね」と別のパンを与える。すぐに2歳の胃袋はいっぱいになり、ごちそうさまとなる。
そして、残ったパンを嫁がゴミ箱に捨てた時は、さすがにA子の目が点になった。
「フードロスだけはいけないよね」
私たちは昔から「食べ物を残すな。粗末にするな」と言われてきた。
私たちの子育ての常識が子ども世代に通用しない。わが子の気持ちを大事にするのはわかるけれど、今のご時世、なんだかね……とみんなでモヤモヤする。
でも、私たちの子育てだって、親の世代からすれば「ちょっと変」だったことだろう。時代が変われば子育ても変わる。温かく見守ってあげなくては、と思う。「でもさ、絶対譲れないことだけは、きちんと説明してわかってもらおうね」と、みんなでうなずき合うのだった。