おススメの本、原田マハ著『キネマの神様』 ― 2016年05月28日
入院中の母は、おかげさまで、ようやく来週退院の運びとなりました。
とはいえ、まだまだ全快とはいえず、新しい形の介護サービスが始まります。
母の入院から2ヵ月半、毎日毎日、病院に通いました。
それは、単なる時間的な忙しさではなく、老いを考え、死を考え、母との親子関係を考え、自分の将来を考え続ける精神的に重くつらい日々でした。
でも途中から、そんな時だからこそ、自分の時間をおろそかにしてはいけない、と思い直し、わずかな時間を割いて若冲展に3時間並んだり、夜更けまで好きな本を読んだりしました。
その中の1冊がこの本。初版は5年ほど前のものです。
『楽園のカンヴァス』、『ジヴェルニーの食卓』など、美術作品を題材にした小説はマハさんの真骨頂、私も大好きです。
この小説は、絵画ではなく映画のお話のようですから、おもしろさについては半信半疑で読み始めました。が、すぐにそれは杞憂だったと気づかされる。しかも、決して映画が主人公というわけではないのです。
実在する時代設定の中で、魅力的なキャラクターを持つ人物たちが登場して、奇跡のような物語が展開されていきます。
その素材として、実際の映画作品や俳優たちがちりばめられているのですが、映画通ではない私でさえ知っているものばかりで、あたかも私って映画通?と錯覚するほど気分よく読めました。
これ以上は、言いません。
映画通の人にも、そうではないけれど映画が好きという人にも、おススメしたい本です。
最後には素直に感動の涙を流せるエンターテイメント、とだけ言い添えておきましょう。
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