著書『歌おうか、モト君。』2012年01月17日


『歌おうか、モト君。』

2005年10月、文芸社から上梓した本です。
副題は、~自閉症児とともに歩む子育てエッセイ~ 。
25歳になるわが家の長男は、3歳の時に「自閉症」と診断されました。
その息子の子育ての日々は、たくさんの人々に支えられながら、泣いたり笑ったりの連続でした。障害がわかったころのこと、小学校でのこと、サザンの歌との出会い、母子二人の海外旅行、側わん症との闘い、きょうだいの葛藤……
それらを少しずつエッセイに書きつづって、1冊にまとめたのが、この本です。
書かれているのは子育ての記録ですが、そこに浮かび上がっているのは私自身の半生にほかなりません。

この本は、2007年から、ご縁があって、聖徳大学の「障害児保育」の科目で、テキストとして読んでもらえるようになりました。そのときから、学期に一度、授業に出向いて、自閉症児の母としてお話しする時間もできました。

今日は、東京は港区三田にある聖徳大学付属の専門学校で、お話ししてきました。
40名ほどの学生さんたちの、きらきらと輝く目が私に注がれます。わかりにくいといわれる自閉症児の話に聞き入ってくれます。
「モト君に障害があるとわかったとき、何を思いましたか」
「周囲の理解を得るために、どのようなことをしましたか」
寄せられた質問に答えるたび、熱心にメモを取っています。
将来、保育のプロを目指す彼女たちの記憶のなかに、私の文章が、私の話が、少しでも
残ってくれたら、と思う。これから彼女たちが出会う障害児の母たちの、確かな支えになってほしい、と思う。
……若いエネルギーをおみやげにもらった気分で、東京タワーが間近に見える道を帰ってきたのでした。


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