旅のフォトエッセイ:ドライブin富良野(2)2012年09月16日

これまで、「旅のエッセイ」として書いてきましたが、今回からはますます写真が主役。そこで、「旅のフォトエッセイ」として、続けていくことにします。

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 私たちの世代にとって、富良野といえば、『北の国から』。言わずと知れた倉本聰のドラマだ。いたいけな純と蛍の小さいころの映像は、今でも目に焼きついている。さだまさしのスキャットのさわりが流れるだけで、涙ぐんでしまうほどだ。
 でも、そのロケ地や使われたセットなど、観光名所となっている場所を訪ねたいとは思わなかった。あのドラマは、私の中でもう完結しているのだろう。

 富良野はラベンダー畑でも有名だが、7月中が見ごろとか。8月後半では、とても期待できそうにない。
 最近まで札幌に住んでいた友人に聞くと、「風のガーデン」を薦めてくれた。なんでも、同名の倉本聰のドラマの舞台として、実際にイングリッシュガーデンをこしらえてしまったらしい。
 やはり倉本ドラマなのだ。でも残念ながら、このドラマは見ていない。
「読んでから見るか、見てから読むか」。原作本のある映画のキャッチコピーだが、こちらは、「見てから行くか、行ってから見るか」となる。もちろん、出発までに時間がないのだ、「行ってから見る」ことにしよう。帰ってから宿題があるのも悪くない。

 「風のガーデン」は、新富良野プリンスホテルの広大な敷地の中にあった。







 一番奥には、グリーンハウス。撮影当時のセットがそのままに置かれている。





 


 ガーデンを出て、「森の時計」という名のコーヒーハウスに向かう。
 これも、倉本ドラマ『優しい時間』の舞台である。
 富良野に来て、結局、『北の国から』に続く二つのドラマの舞台を訪ねたことになる。その三つのドラマが「富良野三部作」といわれているそうだ。
 


 玄関には番人のように、フクロウがたたずんでいる。
 木のドアを開けて、中に入る。
「カウンターがいっぱいなのですが、テーブルでもよろしいでしょうか」
 何も知らずに、「はい」と答えた。
 待つことしばし……

 

「カウンターが空きましたので、カウンターになさいますか」
 それほどに言われるなら、と大きな窓の前のカウンター席に着く。ケーキセットを注文すると、おもむろにコーヒーミルが出てきた。
 予備知識もないままに訪れて、サプライズも大きかった。どうやら、これが売りのようだ。カウンター席だけの特典。
 ご自分で挽いてください、と言われて驚く。

 

「森の時計はゆっくり時を刻む」
 味わいある文字で、そう書かれた額が、壁に飾られている。
 言葉をかみしめるように、ゆっくりとミルを回す。

 挽き終えると、それをボールに入れてくれて、「香りも、どうぞ」。


 あとは、マスターがゆっくりとていねいに淹れてくれるのを待つ。


 和風のカップ&ソーサー。〈珈琲〉という字がふさわしい。
 北海道の食材だけで作られたふわふわクリームのロールケーキと一緒にいただく。
 どちらもおいしかったのは言うまでもない。





 マスターの背中の向こう、窓辺まで森の緑が迫っている。
 日を浴びて、まるで輝くスクリーンのようだった。

 思いがけず、至福のひとときを過ごした。
 
 心身ともに、エネルギーチャージ完了。
 ふたたびフィットに乗って、富良野のドライブへ……!

 



 
   〈続く〉

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