エッセイの書き方のコツ(26):大失敗の巻 ― 2015年06月18日
今回は、私の失敗をさらすことにしましょう。
10日ほど前のこと、2000字のエッセイ執筆にあたり、こんな書き出しで始めてみました。
病気についてのエッセイはあまり好まない。書くのも楽しくないし、読むほうもつらいだろう。わかってはいるのだが、今回はどうしても書いておきたくなった。ロクマルが近づくにつれて落ち込んでいった大きな理由の一つだからである。
いつもなら、
「前置きは、いりませんね。早く本題に入りましょう」
などと言うところですが、今回は〈好まないエッセイ〉を書くにあたっての言い訳をしておきたくなったのです。もっとも下書きですから、何を書いてもあとから削除すればいい。(と、これも言い訳かも……)
病気といっても、顎関節炎に始まって、歯がうずき、噛み合わせがおかしくなったこの2年間のこと。それとロクマルへの思いを交えたかったのです。
そもそもの原因はストレスだという自己診断。
歯科医難民となって、診てもらった医師は6名。
それぞれのいきさつや、医師の印象や、診断の結果を、ああでもないこうでもない、と胸の内を吐き出すようにつづっていきます。
ところが、途中で投げ出したくなりました。冒頭に自分で書いたとおり、ちっとも楽しくないのです。病気の苦しみをいかに伝えようかと、正面から向き合わなくてはならない。それはつらい作業です。
ついつい説明に力が入り、あっという間に制限字数を超えていく。それでも終わりません。
ギブアップしようかと何度も思いましたが、せっかくここまで書いたのだから……と、力を振り絞って最後まで書きとおしました。あとは、内容を絞りこんで縮めればいい。字数は一切気にせず、書くだけ書いたら、なんと、倍の4000字に……!
半分を捨てなくてはなりません。
2年前に、そもそもの原因になった、怒涛のごとく押し寄せたストレスフルな出来事は、カット。長身の若い先生が向井理みたいでときめいたのに、ある日マスクを外していてがっかりした話も、カット。
結局は、顎関節炎と歯の話に終始して、文字どおり骨と皮ばかりのエッセイになってしまいました。だからというわけではありませんが、タイトルは、
「ドクロ美人の憂鬱」。
タイトルだけは結構気に入っています。なにゆえ、ドクロ美人?
いずれ、お読みいただくかもしれません。その暁には明らかになります。
そこで、教訓。病気のエッセイは、やはり楽しくない。
そしてもう一つ。
じつは、治療はまだ終わっていないのです。だから、エッセイも中途半端なまま終わっています。これでは、明るい読後感も望めない。
すべてが終わってから書くべきでした。先走ってはいけませんね。
それにしても、珍しくパソコンの前で苦しみぬいた3日間でした。
やれやれ、エッセイは何年やっても奥が深いです。これも教訓でした。
写真は、内容とは関係がありません。
昨年7月、フランス・ジベルニーのモネの庭で撮りました。
池のほとりのアジサイ、今年もそろそろ咲き始めたころでしょうか……。
コメント
_ のろまな通信生 ― 2015/06/20 00:13
_ hitomi ― 2015/06/20 21:21
最近は、ショートエッセイを書くことが多くて、2000字だとたくさん書けそうな気になってしまうのでしょうね。
歯ぎしりはどの歯科医にも指摘されました。でも歯ぎしりする人は、いびきと同じで、まったく自覚症状がないんですよね。半信半疑で歯ぎしり防止のマウスピースも作りました。……なんて書いているとまた4000字になってしまいそうです。ではいずれ、その2000字に縮めたエッセイをアップしますね。仲間の合評を受けてからということで。
_ kattupa ― 2015/06/22 19:35
私も加齢と共に物忘れ、足の衰え、眼の衰え等など自覚症状が出てきました。Hitomi さんはお若いので頑張って下さい。
_ hitomi ― 2015/06/23 19:32
加齢による衰えは、だれでも避けられませんが、私はまだまだと思っていたのに、こんなことになってしまったので、ショックも大きいのです。
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