ダイアリーエッセイ:旅立ちの朝2015年07月18日


2日前の朝のこと、いつものように職場に向かう途中、乗換えの駅でJRのホームに向かった。ラッシュアワーが少し過ぎた頃で、ホームは閑散としていた。すでに電車が止まっている。行き先を見ると、「修学旅行」とあった。

このホームではときどき、修学旅行専用の電車が発着するのだ。通常のダイヤのすきまを縫うように、貨物専用の線路を通って、いくつかのJRの在来線をひた走って、日光まで直行するという。

その朝も、おそろいの帽子をかぶった小学生が列を作っていた。

ホームを歩きながら、車窓をのぞいてみると、ボックス席の女の子が手を振っている。まるで遊園地の乗り物からお母さんに手を振るように。

近ごろの小学6年生ともなれば、女の子もずいぶん大人っぽくなっている。見かけはたしかにそうなのだけれど、手を振る姿はまだまだ子どもね、と思ったら、私と目が合った。

待ちに待った初めての修学旅行で、昨晩は眠れなかったかも。電車に乗り込んだ今は、わくわくテンションマックスにちがいない。そんなときに、ホームのおばさんに手を振ってもらったら、この先きっと、旅先の人びととも楽しいふれあいができるだろうか……

目が合ったほんの1秒のあいだに、そんな思いが頭の中を駆けめぐった。

次の瞬間、私はニッと笑って、手を振り返していた。

 

   

(写真は、去年の11月に遭遇した修学旅行の専用列車)


 

明日、娘が一人暮らしに旅立っていく。

笑顔で手を振ってあげよう!


 




コメント

_ kattupa ― 2015/07/24 07:55

hitomiさま いつも清々しいショートエッセイを楽しく読ませて
いただいています。朝の修学旅行の光景にhitomiさんの
感想を織り交ぜて、いい感じです。模範文ですね。
娘さんの旅立ち、寂しくなりますね。これも人生でしょうか。

_ hitomi ― 2015/07/25 16:17

kattupaさん、お褒めの言葉、ありがとうございます。
子どもの成長は、過ぎてしまえばあっという間ですね。

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