エッセイの書き方のコツ(28):最優秀賞、おめでとうございます!! ― 2015年10月26日
私が講師となって「エッセイクラブ稲城」が生まれたのは、今から15年前のこと。その発足当時からのメンバーであるMさんが、このたび、エッセイコンテストで100編以上の中から選ばれて、最優秀賞を受賞されました。
70代の彼女は、お花の先生でもあるのですが、その流派が発行する機関誌が、年に一度エッセイコンテストを開催。今回のテーマは「花との出合い」でした。
ふだんから、いろいろとお花に関わるエッセイを書いているので、今回は書き溜めた作品の中から応募してみよう、と思われたようです。
受賞作品の原型になったのは、数年前に書かれた2000字ほどのエッセイです。タイトルは「私の花遊び」。花にまつわるさまざまな思い出が浮かんでは消えていきます。そんな過去を、現在のエピソードで挟む構成になっています。花に詳しくない読み手にもわかるような説明があり、具体的でこまやかな描写のなかに、作者の花遊びの世界が広がる作品でした。
今回の受賞作は、タイトルはそのままに、半分の長さになっていました。
花の専門誌ですから、花についてのよけいな説明は不要でしょう。それらをカットし、思い出も厳選。文末も整理され、体言止めが増えています。
その行為はあたかも、花器に花を生けるとき、花の美しさを引き出すため、茎を切り、葉をそぎ、花の数を減らす作業のごとく、Mさんはエッセイを整えていったのでは、と思いました。
こうして、生け花のような芸術作品に仕上がったエッセイが、審査員をうならせたのでした。
私は、いつも「体言止めは多すぎないように」と言ってきました。
しかし、このエッセイでは、その多用が散文詩のような雰囲気を醸して、成功しています。
お見事です。Mさん、本当におめでとうございます!
「先生のアドバイスに従って書き直した箇所がほめられました」
うれしい報告を、いの一番に私に知らせてくれたMさんは、そう言いました。
講師冥利に尽きるとはこのことですね。
Mさん、ありがとうございます。
Mさんが贈ってくれたのは、新高という実の大きな品種で、普通の幸水の4倍ぐらいありそうです。もちろん美味しさは格別でした。