800字エッセイ:「ですよねぇ」 ― 2019年08月14日
東京メトロの表参道駅に、オシャレなフードコートがあり、時々利用している。そこにはおいしいエッグタルトだけを扱っているブースがあるのだ。とくに出来立ては、本場ポルトガルで食べた味に近いので、懐かしさもひとしおだ。
ショーケースの向こうの若い女性店員さんに声をかけた。オバサンとしては本物を食べた自慢話のひとつもしたくなる。
「これ、おいしいのよね」
すると、明るい笑顔で、
「ですよねぇ」と返ってきた。
え? 私の笑顔が固まった。
共感してくれるのはうれしい。でも、私は客で、あなたは学生アルバイトかもしれないけれどお店側の人。ここはひとまず、「ありがとうございます」でしょ。
従業員の教育ができていないと思ってしまうのは、私だけ?
つい先日、息子がスマホを買い替えたいというので、二人で買いに出かけた。若手販売員君の流ちょうな説明に聞き入っていたが、ここでも、え? と耳を疑った。
「お返しスマホ」という料金割引があるという。それまでのスマホを返却した場合のことらしいのだが、客が返すのに、へりくだって「お返しします」と言わせるわけ?
それとも販売側が「お返し!」と命令口調なわけ?
どっちにしてもなんだか変なネーミング……。
「その言葉、おかしくないかしら」と、販売員君には言ってみたけれど、アハハと笑ってスルーされてしまった。
「ですよねぇ。上司に伝えておきます」と、ここでは答えてほしかったなぁ。

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