エッセイの書き方のコツ(17):あかぬける2013年06月21日

昨日、神奈川県藤沢市の個人のお宅で、エッセイサロンが始まりました。
その名も、〈湘南エッセイサロン〉。
グランドピアノが置かれた洋室と、床の間のある青畳もかぐわしい和室とがひと続きになった広々とした空間に、10名でも座れそうな大きなテーブルがひとつ。
この日、ここに6名の湘南マダムが集いました。
まずは、お茶菓子などいただきながら、ご挨拶……。



皆さんで読み合った作品のなかに、さんの「父の日に寄せて」というエッセイがありました。
父の日にちなんで、亡くなったお父さまの思い出をつづっています。
死の間際、私の腕の中の1歳の娘に向かって、渾身の力をふりしぼり、ベロベロバーをしてくれたのだ。私には父の最期のプレゼントだった……。
涙を禁じえない感動的なエッセイでした。

Iさんは、参加者の前で音読してみて、「父という言葉が多いですね」と、ご自身で気づかれました。
とはいえ、英語のように父親のことを「彼」と言い換えるのは、どうも……。
そこで、「父」を減らしてみます。
たとえば、最後の段落に「今年は父の13回忌にあたる」という文がありました。
お父さまの最期のエピソードの後なのですから、「13回忌」とくれば、当然「父の」に決まっている。こういうところは省けますね。

同様に、「私は」や「私の」も案外多いものです。
エッセイは、「私」が主人公。だからこそ、「私は」が多くなりがちですが、わかりきっているのですから、それがなくても意味は通じるはず。
そうやって、いらない「私」を省いていくと、文章がすっきりしてきます。

Iさんは、家に帰ると、さっそく指摘された無駄な言葉を省いてみたそうです。
「なんだか、グンとあかぬけた感じがします」

文章だってスリムにシェイプアップすれば、あかぬけるというわけです。
皆さんも、書き上げたエッセイのなかから不要な「私」を見つけ出し、省いてみてください。



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