旅のフォトエッセイ:Vacance en France 1 オペラ座 ― 2014年07月21日
![](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/33096f.jpg)
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7月8日から1週間、娘とフランス旅行に出かけた。以前から、モンサンミッシェルに行きたいね、と二人で話していたのである。
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私は大学で西洋美術史が専門だったので、4年生の夏に、ヨーロッパを1ヵ月かけて回る学生向けのツアーに参加した。それ以来、ヨーロッパ旅行のとりことなり、旅行資金を貯めては出かけていた。
いつも貧乏旅行で、ロンドンからパリへは、ドーバー海峡をホバークラフトで渡ったこともある。
ユーレイルパスで鉄道の一人旅もした。事前にミシュランの時刻表と首っぴきで旅行計画を立て、日暮れ前には目的地の駅に着くようにする。駅前の旅行案内所でその晩のホテルを紹介してもらって泊まるのだ。
それでも、治安の悪い国は避けたから、怖い思いも危ない経験も、とくになかった。
親切な人たちとのふれあいや一期一会の思い出だけが、懐かしく残っている。
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そして、前回フランスを訪ねたのは、新婚旅行が最後というのだから、なんと32年ぶりのパリ! フランスはパリしか訪ねたことがないのだが、すっかり忘れてしまっている。あれほど試験前に勉強させられたフランス語も、すっかり錆びついた。
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娘は、今年社会人3年目。ちょうど、私が一人旅を楽しんでいた年頃だ。
ヨーロッパはまだ2度旅行しただけで、フランスは初めて。
それでも、6年前にロンドン・バルセロナ旅行に連れて行ったときに比べれば、大人になっていることだろう。体力的にも、記憶力にも、自信がなくなっているのは母親のほう。
さてさて、「引率者」逆転となるのだろうか。
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フランスとは時差が7時間。
直行便で東京-パリ間は約12時間半かかるので、羽田を朝7時半にたつと、13時にはパリ到着となる。まだまだ昼日中である。
あいにく、出迎えてくれたのは土砂降りの雨。シャルル・ド・ゴール空港からリムジンバスで向かったパリの街角では、傘を持つ人さえ軒先で雨宿りをするような降り方だった。
が、旅の神様はほほ笑む。オペラ座の横にバスが着いて、私たちが降り立ったとたん、雨は止んだ。
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![オペラ広場 オペラ広場](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/33093e.jpg)
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その代わり、方向音痴の二人は、バス停から近くのホテルまで5分の道のりを、スーツケースを転がしながら15分以上もさまよい歩いた。親切なパリジェンヌから声をかけられて、ようやくたどり着くことができた。
Hotel France d’Antin。便利な所だから、狭くても三ツ星ホテル。
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![インテリアのセンスは、さすがパリ。 インテリアのセンスは、さすがパリ。](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/330942.jpg)
元気のあるうちに、すぐにパリの街へ繰り出した。
今回の旅はツアーではないので、お決まりの市内観光などはない。どこも地図を片手に自分の足で歩く。私はともかく、娘のためにはパリの名所と呼ばれるところは押さえておきたい。
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手始めに、最寄りのオペラ座から。
19世紀にシャルル・ガルニエという人が設計したので、ガルニエ宮とも呼ばれている。今でも、オペラやバレエが上演され、東京ならさしずめ歌舞伎座のような場所。2007年には海老蔵さんたちが歌舞伎の公演をしたとか。
娘も私もオペラにはあまり関心がなく、建物の見学だけにとどめた。
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![オペラ座へ向かう。 オペラ座へ向かう。](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/330954.jpg)
![オペラ座と、雨上がりの空。 オペラ座と、雨上がりの空。](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/33095a.jpg)
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まあ、それにしても、豪華絢爛!
床も、柱も、天井も、シャンデリアも……。
当時の富裕層の社交場だったというから、うなずける。
![中に入ると…… 中に入ると……](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/330962.jpg)
![](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/330992.jpg)
![](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/330994.jpg)
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![](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/330996.jpg)
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![](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/330997.jpg)
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私がたった一つ興味があるのは、劇場内の天井。その絵はマルク・シャガールが手がけているのだ。
見学では、観客席には入れてもらえなかったが、客席の裏部屋の窓から、覗きみることができた。青や黄色の地の上に、浮かぶような人物が描かれている。紛れもなくシャガールの絵だ。
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![シャガールの天井画! シャガールの天井画!](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/3309a7.jpg)
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それにしてもオペラ座のゴシック様式の外観と、赤いじゅうたんのきらびやかな客席と、そしてロシアからやって来た画家の「夢の花束」という幻想的な天井画。その取り合わせは、現代の私の目から見ると、どうしても不釣り合いな気がする。あえて言えば、歌舞伎座の天井に草間弥生さんの絵……といったところ。
しかし、そのミスマッチに新しさを見出して、歓迎した当時のフランス人の心意気こそ、パリが芸術の都であるゆえんなのかもしれない、と結論付けてみた。
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目の保養をした後は、今度は舌の保養。
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![日本でもチョコレートで有名なピエール・エルメのお店。 日本でもチョコレートで有名なピエール・エルメのお店。](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/3309b1.jpg)
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ピエール・エルメのマカロンを二つ買って、チュイルリー公園へ。池の周りのベンチで一休みしてマカロンを食べてから、公園内にあるオランジュリー美術館へ。
ここはぜひとも娘に見せたい。クロード・モネが描いた「睡蓮」の部屋がある。
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![公園の八角形の池と、マカロン。向こうに見えるのが、オランジュリー美術館。 公園の八角形の池と、マカロン。向こうに見えるのが、オランジュリー美術館。](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/3309b3.jpg)
![チュイルリー公園を通って…… チュイルリー公園を通って……](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/3309b2.jpg)
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ところが、ぐるりと回っても入り口が見つからない。それもそのはず、火曜定休ということを失念していたのだ。早くもうっかり第一弾。
でも、こんなことでは、へこたれない。
エッフェル塔がそびえるパリの空を眺めているだけで、あの雲のように、モクモクと元気が湧いてくる。
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![](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/21/3309b8.jpg)
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〈続く〉
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![](http://hitomis-essay.asablo.jp/blog/img/2014/07/16/32ee67.png)
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コメント
_ kattupa ― 2014/07/23 04:48
_ hitomi ― 2014/07/23 17:01
写真も山のようにあります。まだまだ続きますので、どうぞお楽しみになさってください。
_ 村上 好 ― 2014/10/25 16:38
チュイルリー公園の写真、懐かしいです。パリの人々が何をするでもなくベンチに横たわって過ごしていました。
村上 好
_ hitomi ― 2014/10/28 17:11
パリの人は、お日様が出てくると、ベンチに座って日光浴を始めます。
日本人の観光客は、日傘を広げ、日焼け止めを塗り、盗っ人に狙われます(笑)
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それとエッセイも。知らない世界で、目の保養
になります。続編に期待します。