おススメの本『下町ロケット』2014年09月08日

 

本当に面白い小説が読みたい。

文章がうまくて、読んで心を揺さぶられる小説に出合いたい。

いつもそう思っていた。

そこで、ある日のこと、こんなことを思いついた。

……そうだ、直木賞受賞作ならハズレがないだろう。

そうだ、どうせなら、受賞作すべて読破しよう!

とはいえ、初回からでは膨大な数になる。できれば現代でも通用する作家の作品を読みたい。とりあえず、2000年前期からの作品を、アトランダムに読んでみよう。

 

今から何年か前のそのときは、すぐにでも達成できるような気がした。

ところがそうもいかなかった。もともと私は多読ではない。家事に仕事に視力の低下、もろもろの事情で、読書タイムが思うように取れない。受賞作以外にも読みたい本が現れる。

しかも、私が何冊か読了しても、受賞作は年に数編ずつ増えていくのだ。

もっかのところ、あと12編。追いつくことはできるのだろうか。

 

というわけで、先週、手にしたのがこの本。

2011年の受賞作、池井戸潤著『下町ロケット』。

理系の話はそれだけで拒否反応が出て、受賞当時は飛びつかなかった。

すぐに文庫になって、100万部を超える売れ行きだとか。

そこで、やっと今ごろになって、手にとった。

 

するとどうだろう。

とにかく、数ページ読んだだけで、つかまった。

どんどん先を読みたくなる。中だるみもない。

最後の最後まで、どうなる、どうなる……と心がはやる。

そして最後は…… (秘密。)

 

久しぶりに痛快な小説だった。

なんといっても、読みやすい。わかりやすい。

物理が苦手な文系アタマの私でも、ノープロブレム。

読んできた直木賞受賞作の中でも、気どらないエンターテイメントとしてはダントツだ。

もちろん、それだけではない「何か」をもっているからこそ、直木賞受賞となったのだ。

それが何かは、読み終えたときにわかってもらえるはず。

まだ読んでいない方、おススメです。

秋の夜長に、ぜひどうぞ。 




コメント

_ SACHI ― 2014/09/09 00:35

「下町ロケット」おもしろいですねえ。池井戸潤 の小説では、私はこれと「ルーズベルト ゲーム」が凄くおもしろかったです。途中面倒くさいところがひとつもない、どころか、面白くてやめられない、
という小説は久しぶりでした。
 自分の事を言えば、藤沢周平の『海坂藩」ものがすきです。
「風の果て」をよみおわったところ、藩の政治のごたごたと、自分の周りの組織のあれこれに、なんと共通点のあることか。

_ hitomi ― 2014/09/09 10:11

SACHIさんはもうお読みだったのですね。
藤沢周平作品は食わず嫌いで読んだことがありませんが、直木賞の中にも時代小説があり、面白いと思います。今度『海坂藩』を読んでみますね。やはりおススメの書評を読んだ記憶があります。

_ kattupa ― 2014/09/13 05:10

hitomiさま そうですか,おもしろそうですね。わたしは川上弘美の
エッセイです。気分転換にいいようです。
長い小説は、いまでは、読む根気がありません。ので敬遠ですね。

_ hitomi ― 2014/09/13 19:29

kattupaさん、
そうですか、長編はお嫌いですか。
たっぷり時間もおありでしょうに、残念です。

_ 片割れ月 ― 2014/09/15 15:38

ご無沙汰してます
私がほとんど小説を読まないのはハズレが多かったからかも。
エッセイはけっこう読んでるのだが、北杜夫とか(笑)
そんな風に目標を立ててみるのもいいかなと思ったところで、遅すぎたかも。
下町ロケットは読んでないので、ぜひ読んでみたいと思います。(*^^*)ポッ
ところで私のブログ、サービスが終了することになり引っ越しました。
家財道具は今運んでいるところです、お近くに来たときはお立ち寄りくださいね♪

_ hitomi ― 2014/09/15 20:51

片割れ月さん、
おや、お引越しですか。サービス終了なんてあるんですね。
私も、ブログは何となく心配なんです。せっせせっせと時間をかけて写真を選び文を練ってアップしているのに、自分の手元に残せないっていうのが不安ではありませんか? アナログオバサンの杞憂でしょうか。
ところで、小説を読まれないなんて、もったいない。『下町ロケット』は、そんな方にこそおススメかもしれません。ほかにも直木賞の審査員をしている浅田次郎さんの小説、演歌好きな片割れ月さんにはおススメしたいですね。ちなみに彼の1997年の受賞作は、『鉄道員(ぽっぽや)』です。

_ 村上 好 ― 2014/10/25 06:58

hitomi 様

<文章がうまくて、読んで心を揺さぶられる小説に出合いたい>

私も常にそう思っています。
そんな本はめったにありません。

そんな本はあっただろうかと考えてみてもなかなか浮かんできません。

一冊あげるとすると、
岸本葉子 『四十でがんになってから』(文春文庫、2008)
です。
2013年7月に読みました。

ところで、hitomi さんのこのブログで、池井戸さんの小説の結末を
(秘密。) と書かれていますね。
読者のことを思いやっておられるのをみて嬉しくなりました。

最新のブログから、このブログまでを拝読して、hitomi さんのブログは
<文章がうまくて読んでとてもいい気持になるブログ>
と感じています。

バックナンバーを拝見するのがとても楽しみです。

村上 好
(パッヘルベル「カノンとジーク」をきいています)

_ hitomi ― 2014/10/27 22:25

村上好さん、
岸本葉子さんの『エッセイ脳』は、私が追求してきたエッセイの神髄が明文化されているようで、座右の書です。それに、かわいい人だし♪
〈読んでとてもいい気持ちになるブログ〉なんて、最高のほめ言葉をいただいて、がんばって続けてきた甲斐があったというものです。ありがとうございます!

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