旅のフォトエッセイ:Vacance en France 8 モン・サン・ミッシェル② ― 2014年09月05日
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夜の10時、ようやく日没の時間だ。
とくに防寒着のようなものは用意して来なかったので、ありったけのカーディガンを着込み、スカーフをぐるぐる巻きにして出かける。まず島の外へ出てみた。風が冷たい。
夕日は水平線の近くまで来ていた。
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「もっと島の高いところから見よう。まだ間に合うわ!」
もう一度門をくぐり、石畳の参道を走っていく。ホテルの前を通り抜け、教会の前を横切り、階段を上り、また降りると、そこに展望台があった。
すでにたくさんの人たちが夕日を見ていた。ほとんど日本人のようだ。
同朋の気安さから、お互いに写真を撮り合った。娘はシャトルバス乗り場の横で、裏起毛のトレーナーを買って着ている。MT.ST.MICHELのロゴ入りだ。
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後から地図で確認すると、そこは北塔と呼ばれ、ここからの眺めは北西から北東あたり。
背後には修道院がそびえている。
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いよいよ、オレンジ色の太陽が、強烈な輝きのまま海水につかり始める。
リケジョの娘は、こういう時に冷静沈着。定点で写真を撮り続けていた。
あとからタイムをみると、10秒から40秒ぐらいの間隔で撮っている。
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夜10時19分。ようやく日が沈んだ。
東の空にはぽかりと月が浮かんでいた。
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何年ぶりだろう、夕日が海に沈んでいくのを見たのは。
それも、日本から遠く離れたフランスのはずれのこんな場所で……。
感動などという言葉で語ってしまってはもったいないような、言い表すことのできない体験だった。その体験ができたことをありがたいと思い、またいつかここを訪れたいと強く願った。
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さらにその1時間後、空が真っ暗になるのを待って、ふたたび島の外へ。
今度は夜景を見たい。
しかし、風はさらに強く冷たくなって、吹き付けてくる。
少し島から離れて夜景が撮りたかったが、あまりの寒さに断念。今回はこれだけで良し。
また次回……!
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明日は、日の出を見よう。
お天気でありますように。アーメン。
〈続く〉
コメント
_ SACHI ― 2014/09/09 00:16
_ hitomi ― 2014/09/09 09:47
うれしいコメントをありがとうございます。
とても忙しい日常を、あえて離れて感じる想いこそ、旅のだいご味なのでしょうね。
思い出の中にしまったまま、「またあそこへ行きたい」と願い続けるのも楽しいことで、日々のエネルギーになっているのかもしれません。
_ SACHI ― 2014/09/09 22:36
次いでですが、今、煌々たる満月です。
_ hitomi ― 2014/09/10 17:49
私も、昨晩は、赤い月を見ました。きれいでしたね。
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そして次の数行に魅了されました。なぜなら、私がそういう時感じる気持をまさに言葉にしてくださっていたからです。
『それも、日本から遠く離れたフランスのはずれのこんな場所で……
感動などという言葉で語ってしまってはもったいないような、言い表すことのできない体験だった。その体験ができたことをありがたいと思い、またいつかここを訪れたいと強く願った。」
私もそういう時、同じように強く願い、そして実現できたところも
出来なくて思い出の中にしまってあるだけのところも、、、。
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